(※写真はイメージです/PIXTA)

長年連れ添った夫婦であれば、残された側の喪失感は計り知れません。一人残されたあとの最期をどうするか……。本記事では、合同会社エミタメの代表を務めるFP三原由紀氏が、孤独への不安から「老人ホーム」への入居を娘に勧められたAさん(84歳)の事例とともに、老人ホーム入居の注意点について解説します。

持病があった89歳夫がコロナ禍で逝去…

都心の低層マンションに暮らすAさんは84歳、5歳年上の夫と暮らしていました。一人娘は55歳、1時間ほど離れた隣県に家族(夫・娘)と住んでいます。現役世代の娘家族は日々忙しく暮らしており、Aさんたちとはお正月にホテルで会食するほどの交流でした。

 

ただし、関係性はいたって良好。その理由は、娘がほぼ毎月ご機嫌伺いに実家に顔を出してくれるからです。正直なところ、身内だけのほうが気楽なため、近所のホテルランチに行くのを楽しみにしていました。

 

Aさんの夫は企業戦士として会社に人生を捧げてきた甲斐あり、役員まで昇進し65歳で勇退しました。Aさん自身も夫を支えてきたという自負を持っています。ときおり「お父さんは会社と結婚したんじゃないの」とからかう余裕があったのも娘がいたおかげです。

 

巷でよくいわれている一卵性母娘ほど濃厚な関係ではありませんが、一緒に買い物に行ったり、お互いの夫の愚痴をこぼしたりなど、信頼できる友人みたいな母娘関係でした。

 

夫婦仲よく、ゆとりあるセカンドライフを楽しんでいたAさん夫妻の暮らしに危機が訪れたのは、新型コロナウイルスが蔓延したときのことです。

 

数年前から患っていた夫の肺疾患が急激に悪化、緊急入院となってしまいます。時機が悪いことに搬送された病院はコロナ病棟がありHCU(高度治療室)での治療もそこそこに一般病棟へと移され、治療の甲斐なくひと月ほどで亡くなりました。

 

入院中にAさん母娘が面会を許されたのは1週間に1回の数分ほど、きちんとした別れをかわす時間もありませんでした。

 

夫を病で突然奪われたAさんのお気持ちは、気の毒としかいいようがありません。家族のみで葬儀を執り行い「お父さんがいない人生なんて考えられない」と泣きながら電話で娘に訴える日々が続きました。

 

遺族年金などの手続きは娘がすべて行い、また、遺言どおりに相続の手続きも済ませてくれました。夫が亡くなったのは春先でしたが、あっという間に年を越し、お正月には娘家族との会食を楽しんだものの、自宅に帰ると寂しさが募るAさんでした。

 

 

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