日本の中流家庭の家は資産になりづらい
もちろん、都心の超一等地はこれからも人気でしょう。「銀座の超一等地の不動産を買う」となったら話は別ですが、おそらくそうした人は本書を手に取っていないはずです。
もちろん、都心部でしたら超一等地でなくても優良物件はあるはずです。ただ、正直、その見極めは素人には難しいでしょう。そもそも、日本で数少ない優良物件の情報は富裕層にだけ届きます。株式の世界と同じで富める者はさらに富む構造にあります。
万が一、そうした不動産の情報を手にしたところで大きな問題があります。いつ買って、いつ売るかのタイミングは不動産のプロでもわかりません。歴史的観点や再現性の高さから見ても、投資の王道は株式と不動産なのは間違いないですが、日本には当てはまらないと私は考えています。
確かに海外でしたら、家は資産になります。北米や欧州では家を直して住み続ける文化があります。エリアによっては古い家ほど価値が上がる可能性もあります。土地だけでなくて上物にもしっかりとした価値があります。
これは気候とも無縁ではありません。天災が少なく、湿度が低いため、家が傷みにくいことが関係しています。北米は人口が増えていることもあり、バンクーバーでは投資のことなど何も考えずに家を持っていただけで不動産長者になった人も少なくありません。
一方、日本は地震も台風も多いですし、湿度も高いので家が傷みます。メンテナンスも大変です。また、長く住み続ける文化というよりは新築文化です。買った瞬間に不動産価値は下がります。そして、さきほどお伝えしたように人口も減り、土地の価値も二束三文になりかねません。海外に比べて日本で私たち中流家庭が不動産を資産として位置づけるのは難易度がかなり高いといえるでしょう。
もちろん、どうしても家が欲しいという人は買ってください。子だくさんで持ち家でないと住みにくい、好き勝手に改修したいので持ち家が欲しいという人もいるでしょう。はっきり言って、持ち家が子どもの頃からの夢だった人が家を買わないのはナンセンスです。
ただ、資産として考えていたり、賃貸か持ち家かで現在悩んでいたりする人は、買うことはおすすめしません。これからは間違いなく、誰も買い手がいない土地が日本中にどんどん増えます。住む場所には困りません。日本人を長く洗脳してきた不動産神話を捨て去りましょう。