実はギャンブルは負け確定のゲーム
依存性の高いお店としては、キャバクラなどの夜の店のほかに、パチンコなどのギャンブルもあげられます。
ギャンブルはサンクコスト効果(それまでの投資によって使った費用や労力を考えて行動を続けてしまう)でお金をつぎ込んでしまう最もわかりやすい例でしょう。サンクコスト効果に加えて、たまに勝った時の快楽が人を夢中にさせます。
ギャンブルは脳の仕組みとしてドーパミンをドバドバ出させます。勝った喜びで負けの苦しみを忘れるように設計されています。そもそも、ギャンブルは非常に勝ち目の薄いゲームです。マイナスサムゲームだからです。
経済学のゲーム理論では、マイナスサム、ゼロサム、プラスサムの3つがあります。ゼロサムゲームは参加者全体の損得がゼロになります。
例えば仲間4人でゲームのマリオカートの大会をやるとします。その時、1人1000円ずつ出しあって1位が4000円をもらえるようにします。この場合、参加者から4000円集めて、全額を賞金として還元しています。つまり、勝った人が得をした金額と、負けた人が損をした合計金額が同額で、トータルでプラスマイナスゼロです。
一方で、参加者から集めたお金よりも還元するお金の方が大きい場合は、プラスサムゲームになります。例えば、合計4000円集めて賞金総額が5000円のような場合です。
反対に、参加者から4000円集めて、賞金総額が3000円の場合はマイナスサムゲームといいます。期待値で考えると、プラスサムゲームだと自分たちが出したお金より返ってくるお金の方が多く、ゼロサムゲームだと同じ、マイナスサムゲームだと自分たちが出したお金より返ってくるお金が少なくなります。
ですから、マイナスサムゲームは単純に考えれば「買えば買うほど損をする」可能性が高くなります。パチンコ、競馬、競艇、そしてその他ギャンブルも全てマイナスサムゲームです。これらは全て、そもそも胴元が儲かる仕組みになっています。
還元率(使った額に対してどのくらい戻ってくるかの割合)はパチンコ・パチスロが80~85%で競馬が70〜80%といわれています。つまり胴元が2割程抜いた後の金額を分け合っているのです。
参加者がかけた金額以上のお金が参加者に返ってくることはありません。ですから、基本的には一般客である私たちは負けるようになっています。「ギャンブルをしなければ死ぬ」という病気でもなければ、負ける確率の方が圧倒的に大きいゲームで勝負する必要はありません。
宝くじはギャンブルより還元率が低い
「イッセイさん、ギャンブルなんてやりませんよ。私はたまに宝くじを買うくらいです」という人もいるかもしれません。ちょっと待ってください。夢が広がるドリームジャンボ宝くじとCMが流れていますが、夢が広がるのは実は胴元だけです。
確率論の観点からいえば、宝くじは「愚か者の税金」といわれています。リターンの期待値で言うとギャンブル以下です。還元率は約46%とギャンブルと比べてもかなり低いです。
ピンとこない人に説明すると、年末ジャンボの1等に当たる確率は、交通事故で死亡する確率の約588倍も低いです。宝くじを買うことが趣味などでなければ、今後の購入はおすすめしません。
ギャンブルや宝くじに費やす分のお金をコツコツ貯金したり、積み立て投資に振り向けたりするほうが結果的に蓄えは増え、夢も広がります。