◆「架空の外注先」の確定申告書からバレた例
もう1つのパターンは、友達にお願いして架空の「外注費」を計上したケースです。友達の銀行口座へ送金し、友達から現金でバックしてもらっていました。また、請求書、領収書も準備していました。
ここまでしても、税務署には嘘の外注費だとバレたのです。準備されていた請求書・領収書を税務署が持ち帰って、その友達の名前の確定申告書をチェックし、その方が会社員であることがわかり、これは怪しいとなったのだと思います。
後日、どんな仕事を依頼しているのかを詳しく聞かれ、説明に齟齬が生じ、架空の外注費であることがバレてしまいました。
ちなみに、税務調査が来ると、通常は3年間の確定申告の内容がチェックされます。でも、この調査期間は最大7年まで延長されることがあります。
たとえば、毎年同じような内容の誤りがあった場合で、過去に遡っても同じミスがあるだろうと簡単に想像できる場合は、調査期間が3年から5年に延長されます。
また、確定申告の内容が悪質な脱税をしていると判断されると調査期間がさらに延長され、7年間遡ってチェックされてしまうこともあります。
そして税務調査の結果、確定申告の内容が修正され、追加で所得税を払うことになります。税務調査の結果は、市役所にも連絡が行き、住民税や個人事業税、健康保険料も過去に遡って支払うことになります。
このように、不正の手口は税務署にはすべてお見通しで、必ずバレますし、バレた時のペナルティはとても大きなものとなってしまいます。そもそも他人からの領収書を使用する行為は、(当たり前ですが)完全にアウトですので絶対やめましょう。
ちなみに、個人事業主で最も税務調査で税金を取られてしまった方のなかには、1億円以上の税金を払うことになった方もいます。規模の大きな脱税をしてしまっていた事例ではありますが、通常の正しい納税をしていれば起きなかったことです。
脱税は犯罪であり、「つい、できごころで…」は通用しない世界なのです。
永江 将典
税理士法人エール
公認会計士・税理士