※写真はイメージです/PIXTA)

年収1,000万円超の高級取りとして名高い医師だが、過酷すぎる労働環境がある事実は、長らく問題視されてきた。しかし、医療業界のリアルはそれだけに収まらない。無給医の現状も度々取り上げられるようになっている。

勤務医と開業医では年収が倍以上も変わるが…

ここで気になることが1点。大学教授の給料だ。無給で働く同業者がいるなか、トップの人間は一体いくら貰っているのか?
 

実は、開業医や市中病院の医師と比べ、大学病院で働く教授の給料は高くない。厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、准教授で860万円、教授でも1,070万円ほどと報告されている。もちろん、執筆や講演など、外部での収入もあるだろうし、「これだけでも十分高いじゃないか」と感じる人もいるだろうが。

 

『白い巨塔』でも見られるように、過去、教授という立場は絶大な権力があった。大学病院での給与のみならず、副業でも荒稼ぎし、関連病院にまで幅をきかせられる人事力によって、ヒエラルキーの頂点に居座っていたという。しかし、上記に述べたような問題から若手の医局離れも進み、院内ピラミッドの形態は変化してきている。「教授がゴール」ではなくなってきたわけだ。

 

その分、開業した医師は強い。手取りも労働時間も自由に決めることができる。専門科によっても差があるが、平均的な年収はなんと勤務医の倍以上、3,000万円を超えるという。さらに、美容外科などの自由診療の場合は億を超える年収になることもざらだ。開業する医師が増えるのは、自明のことといえる。

 

もちろん開業医にも、初期費用の問題や、儲からないリスクがあるのも事実だ。コンサルに開業までの作業を一任した結果、高い機器を買わされ、クリニックも患者が集まらず大赤字…という例は、医療業界で働く労働者なら聞いたことがあるかもしれない。莫大な利益に伴うとんでもない税金をどうやって節税するのか、という問題もあるだろう。無給医とは一線を画す問題ではあるが。

 

ちなみに2019年7月、昨今の問題を受け、全国医師ユニオンと日本労働弁護団は、長時間労働に苦しむ医師や、無給医向けのホットラインを開設した。そのなかには、「月給1万円」との連絡もあったという。医師たちの劣悪な状況が改善される日は来るのだろうか? お世話になる一患者として、他人事ではいられない。

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