「一生苦労させません」誓いの言葉に裏切られ…退職後〈貯金3,700万円〉で豪遊した66歳夫逝去。残りの貯金40万円で精一杯の寂しいお葬式をした妻、貯金ゼロの恐怖老後がスタート【FPが解説】

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(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の平均寿命は男性が81歳、女性は87歳です。夫と年齢が近い場合、悲しいことに夫が先立つ可能性のほうが高いのが現状です。そのようななか、年金受給者は自分の死後、残された配偶者が受け取れる遺族年金額を前もって把握し、計画を立てておくことが重要になってきます。本記事では、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が、Cさんの事例とともに、残される配偶者のために生前、備えておくべき5つの対策について解説します。

残される妻のために…生前に備えておくべき5つの対策

老後に妻が1人残された場合に備えて、どのような対策を取っておくべきでしょうか。5つのポイントを解説していきます。

 

1.住まいの維持費・生活費

上記の妻Cさんのように資産価値のない自宅を所有する場合、その維持費を事前に用意しておく必要があります。屋根外壁のメンテナンス費用、設備の交換費用、火災保険料などを予算化し、定年退職時に現金で確保しておくと安心です。

 

また、妻の老齢年金の受給額と遺族年金の受給額をシミュレーションしておき、不足する生活費×余命年数で計算し、現金で確保することも重要です。

 

2.葬儀費用、墓地

家族葬が増えている現状ですが、それでも通夜・告別式を行い、ホールを借りるとなると一般的に150万円~200万円の費用がかかります。

 

葬儀社によっては「直葬プラン」というコースを用意していますが、葬儀などは行わず遺体の安置と火葬だけで宗教者は来ないという、遺族にとっては寂しさと後悔が残りかねない内容です。葬儀費用は遺族が用意するのではなく、自分で残しておくほうがいいでしょう。

 

また、葬儀のあり方の希望も明確に残しておくべきです。墓地は地域によっては非常に高額で、抽選方式になっていることもめずらしくありません。早めに確保し墓石を設置しておくことも重要です。永代使用料や墓石を含めると総額200万円程度かかります。

 

3.医療費

ガンをはじめとした大病をすることもありえます。高額療養費制度で自己負担額を抑えることはできますが、その自己負担が数年間におよぶ場合、老後の家計に少なからずダメージがあります。

 

「貯蓄を用意しておけばいい」という意見も多くありますが、亡くなったあとで妻に残せるキャッシュが減るということでもあります。医療保険、がん保険、三大疾病保険などを用意して貯蓄からの手出しが少なくなるようにしておきましょう。

 

一方で掛け金は加入年齢が高いと高額になります。なるべく若いうちに、一生払っていけるような安価な保険を比較検討して加入したいものです。

 

4.死亡保険

死亡保険は文字通り、亡くなったあとで現金を保険金として受け取れる保険です。貯蓄として現金で確保できない費用は、死亡保険で残しておくと安心です。死亡保険は数日で現金が振り込まれるため、住まいの維持、妻の生活費、葬儀費用など幅広く対応できます。貯蓄を用意していてもなんらかの事情で目減りすることもありえるため、死亡保険も同時に用意しておくことで万全になります。

 

5.妻の医療費、介護費用

妻もまた、大病や介護状態となる可能性があります。配偶者が亡くなり、1人となった状態での闘病は精神面でも経済面でも厳しいものとなります。せめてお金には苦労しないよう、医療保険や民間の介護保険、貯蓄によって費用を確保しておくと安心です。

 

このように「夫亡きあとの妻の人生」への備えは、保険+貯蓄での対策が現実的です。保険は若いうちに一生を見据えて加入しておくこと、貯蓄は普通預金だけではなくNISAなどを活用して長期的に資産運用をして増やしておく対策が重要です。

 

夫にとって「自分の老後」「自分と妻の老後」を想像するのは楽しいものですが、自分が亡くなって妻が1人残されたときのことを考えるのは辛いものです。しかしこれも人生における夫の責任の1つと思い、早めの着手をおすすめします。

 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表FP

 

 

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