<人口動態統計>「出生数」77万759人、「合計特殊出生率」1.26で“7年連続”で過去最低に…少子化が止まらない日本の「子育てサポート制度」の現状は?

<人口動態統計>「出生数」77万759人、「合計特殊出生率」1.26で“7年連続”で過去最低に…少子化が止まらない日本の「子育てサポート制度」の現状は?
(※画像はイメージです/PIXTA)

厚生労働省は9月15日、2022年の人口動態統計(確定値)を発表しました。出生数は77万759人、女性1人あたりの生涯で産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.26で、いずれも7年連続で過去最低を記録しました。少子化が進行するなか、出産・子育ての環境を整えることが重要な課題になっています。そこで、現状の国の制度について「お金を受け取れる制度」「育児休業の制度」「税制優遇の制度」に分けて確認します。

育児休業の制度

次に、育児のために休業できる制度を紹介します。これは会社員・公務員が加入する被用者保険・雇用保険に基づくものです。以下の2つが挙げられます。

 

【育児のために休業できる制度】

・育児休業制度

・産後パパ育休(出生時育児休業)

 

◆1. 育児休業制度

育児休業は、子どもを養育する労働者が取得できる休業です。休業期間中、上述したように、給与額の67%の「育児休業給付金」を受け取ることができます。

 

育児休業は、就業規則に定めがあるないにかかわらず、法律上の権利として取得できます。また、男女問わず認められています。さらに、派遣社員・パート・アルバイトといったいわゆる「非正規雇用」の労働者も、子が1歳6ヵ月になるまでの間に雇用契約が満了することが明らかである場合を除いて育児休業を取得できます。

 

育児休業を取得できる期間は、原則として、子が1歳になるまでの期間です。ただし、保育所に空きがないなどの特別の事情があれば、子どもが1歳6ヵ月になるまで延長することができます(再延長もでき、その場合は2歳まで)。

 

また、両親がともに育児休業を取得する場合、休業できる期間が1年2ヵ月へと延長されます(パパ・ママ育休プラス)。

 

雇用主は、労働者が育児休業を取得しやすくするために、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

 

・研修の実施

・相談窓口の設置

・自社における育児休業の取得事例の収集・提供

・育児休業・産後パパ育休の制度があることと、取得促進に関する方針の周知

 

また、雇用主は、労働者から本人または配偶者が妊娠・出産した申し出があった場合、以下の事項を告知して、休業を取得する意思を確認しなければなりません。その際に育児休業の取得を控えるよう誘導してはなりません。

 

1.育児休業に関する制度内容

2.育児休業を申し出る窓口

3.育児休業給付に関すること

4.育児休業期間中の社会保険料の取り扱い(免除等)

 

◆2. 産後パパ育休(出生時育児休業)

産後パパ育休は、男性(父親)が子の出生後、8週間以内に合計4週間まで取得できる休業です。2022年10月から施行された新しい制度です。

 

一気に4週間取得することも、2回まで分割して取得することもできます。また、育児休業と同様、給与額の67%の休業給付金(出生時育児休業給付金)を受け取ることができます。

税制優遇の制度

最後に、子育てに関する税制優遇の制度を紹介します。以下の2つです。

 

【税制優遇の制度】

・扶養控除

・ひとり親控除

 

◆扶養控除

扶養控除は、16歳以上の子を扶養している人が所得控除を受けられる制度です。未成年の子(16歳~18歳)を扶養している場合は、控除額は年38万円です。

 

また、子が以下の要件をみたす必要があります。

 

・納税者と生計を一にしている

・年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)

・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でない

 

◆ひとり親控除

ひとり親控除は、「シングルマザー」「シングルファーザー」が毎年「35万円」の所得控除を受けられる制度です。婚姻歴の有無に関係なく利用できます。

 

【ひとり親控除の要件】

1. 現に婚姻していない、または配偶者の生死が明らかでない

2. 事実婚(内縁)と同様の事情にある人がいない

3. 生計を一にする子がいる

4. 子の所得の合計額が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない

5. 合計所得金額が500万円以下

 

このように、国は、出産・子育てについて、お金を受け取れる制度、育児のために休業できる制度、税制優遇の制度を設けて総合的なサポートを行っています。これらの制度が少子化対策のために機能するには、本人が積極的に利用しようとするだけでなく、勤務先、国や公共団体のさらなるサポートが欠かせません。また、国には、既存の制度がどこまで有効に機能しているか否かの検証と、それを踏まえてのさらなる拡充が求められます。

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