年を重ねても「ずっと月収20万円のまま」…困窮する非正規たち
最高裁は「同一労働同一賃金」は肯定していますが、そもそも、なぜこのような制度ができたのかというと、正規雇用と非正規雇用の給与格差。低収入の非正規雇用の待遇改善が目的のひとつでした。
低収入の非正規雇用。生活に困窮する人も多く、いわゆるワーキングプアは社会問題となっています。また、生活苦から一線を超えるケースも。
先月、神奈川・川崎市のコンビニで、日雇いバイト中に現金約140万円を盗んだ疑いで、44歳の男性が逮捕される事件がありました。
――日雇いや漫画喫茶での生活から抜け出したかった
容疑者は、そう供述したとか。盗んだお金は使ってしまって「もうない」といい、なんとも身勝手な犯行だと言わざるを得ません。「いまどき漫画喫茶なんて高いんだから、かえって贅沢じゃん」などという声もありましたが、それはさておき、生活苦から犯罪に手を染めてしまうのは、低収入で困窮する非正規雇用の問題とまったく関係ないとは言えない部分もあるでしょう。
非正規雇用者は、2004年の派遣法の改正により増え、さらに昨今、働く女性や高齢者が増え、今や労働者の4割を占めるまでになっています。
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、正社員(平均年齢42.3歳)*1の平均給与は月33万9,300円、年収で534万2,900円です。一方、非正規(平均年齢49.7歳)*2の平均給与は20万9,400万円、年収で286万6,100円です。月収差は15万円、年収差は247万円にもなります。
*1:正社員・正職員の雇用期間の定め無し、男女計、学歴計、従業員10名以上
*2:正社員・正職員以外の雇用期間の定め無し、男女計、学歴計、従業員10名以上
給与の推移をみていくと、正規雇用は年齢と共にあがっていき、定年前の50代後半で、月収39万円、年収で642万円に達します。片や非正規雇用は年齢を重ねても給与は上がらず、月収は20万~21万円をキープ。年収は300万円を超えることはありません。
【年齢別「非正規雇用」と「正規雇用」の平均給与】
20~24歳:20.8万円(275.5万円)/22.2万円(335.9万円)
25~29歳:21.5万円(293.6万円)/25.7万円(419.5万円)
30~34歳:20.8万円(284.9万円)/28.9万円(477.7万円)
35~39歳:20.7万円(288.2万円)/32.4万円(534.4万円)
40~44歳:21.4万円(290.0万円)/34.8万円(571.7万円)
45~49歳:20.7万円(284.1万円)/36.7万円(599.6万円)
50~54歳:20.8万円(285.8万円)/38.8万円(634.8万円)
55~59歳:21.2万円(294.0万円)/39.7万円(642.5万円)
60~64歳:21.7万円(305.1万円)/33.7万円(512.9万円)
※数値は左より、非正規雇用の月収(年収)/正規雇用の月収(年収)