高齢化に伴い、認知症患者が増加しています。同時に、認知症患者を介護する家族も増えています。そんな認知症、「自身や家族がなったら……」と、多くの人が不安を覚えているようです。みていきましょう。
80代母が認知症…月収41万円「定年間近のひとり息子」苦渋の決断 (※写真はイメージです/PIXTA)

あと2年で「高齢者の5人に1人が認知症」の社会が到来

日本人の死因の第1位は悪性新生物、いわゆる「がん」です。一方で太陽生命保険が2021年に行った調査では、すでにかかっている病気を含めて「最もなりたくない病気」の第1位は「認知症」で、42.6%を占めました。2位は「がん」で28.7%。「認知症にはなりたくない!」という人のほうが、圧倒的に多いようです。

 

また内閣府が2019年に行った『認知症に関する世論調査』によると、認知症になっても「今まで通りの生活ができる」と楽観的に考えている人は39.5%(下記①②合計)。一方で、「今までの生活はできない」「何もできなくなる」など悲観的に捉えている人は56.4%(下記③~⑤合計)でした。

 

①認知症になっても、できないことを自ら工夫して補いながら、今まで暮らしてきた地域で、今までどおり自立的に生活できる

…6.9%

②認知症になっても、医療・介護などのサポートを利用しながら、今まで暮らしてきた地域で生活していける

…32.6%

③認知症になると、身の回りのことができなくなり、介護施設に入ってサポートを利用することが必要になる

…40.0%

④認知症になると、暴言、暴力など周りの人に迷惑をかけてしまうので、今まで暮らしてきた地域で生活することが難しくなる

…8.0%

⑤認知症になると、症状が進行してゆき、何もできなくなってしまう

…8.4%

 

マイナスに考える人の多い認知症。『日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究』」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業九州大学二宮教授)によると、2025年、認知症患者は675万~730万人、有病率は20.2~22.5%と、高齢者の5人に1人は認知症という水準に。さらに2040年には、認知症患者は802万~953万人、有病率は20.7~24.6%になると推測されます。