厚生労働省から2023年夏の賞与額について発表がありましたが、「そもそもボーナスなんてもらえないし」と恨めしそうな顔を浮かべる非正規雇用の人たち。生きるだけで精一杯といえる給与で生活は困窮し、超えてはいけない一線を超えてしまうケースも。みていきましょう。
〈ネットカフェ生活〉から抜け出したかった…平均手取り15万円「40代非正規・男性」が超えてしまった一線 (※写真はイメージです/PIXTA)

仮に20歳から60歳まで、ずっと正規雇用として働いた人と、ずっと非正規雇用として働いた人の生涯年収を比較すると、正規雇用では2億1,000万円、一方、非正規雇用は1億1,000万円。その差は1億円にもなります。

 

非正規雇用であれば、手取りにして月15万円ほどという状況が40年間続きます。1ヵ月だけ生活する分には問題なくても、予想外の出費があればあっという間に赤字。そのようなことが重なり、借金が膨れ上がる……容易に想像がつきます。

 

――待遇に不満があるなら正規雇用になればいい

――努力をしない言い訳をしているだけ

 

そう叱責する人もいます。確かにその通り。しかし非正規雇用から抜け出したくても抜け出せない人も世の中にはいます。たとえば、40代~50代前半、いわゆる氷河期世代の人たち。学校を卒業するタイミングで正社員になれず、非正規雇用で社会人スタート。雇用環境が改善されたころにはすでに30代となっていて、キャリアなしではなかなか正社員になれず、いままで非正規雇用で歯を食いしばってきた……。

 

しかし正規雇用のキャリアのない40代・50代を歓迎する企業はどれだけあるでしょうか。すでに手遅れ、というのが現実です。それでもなんとか這い上がろうと努力をしている非正規雇用者がいるのであれば、そこから引き上げるサポートがある世の中であってほしいでものです。