高齢者が要介護状態になったら、自宅で生活するため家の改修が必要になることもあります。その場合、経済的負担を軽くするための公的支援の制度があります。介護ジャーナリストの小山朝子氏の著書『ひとり暮らしでも大丈夫! 自分で自分の介護をする本』(河出書房新社)から一部抜粋してご紹介します。
福祉用具によっては「購入費用」の助成を受けられる
介護保険で借りられる福祉用具があることを前項で書きましたが、福祉用具のなかには、他の人が使用した後で再利用することに抵抗を感じる品目もあります。
具体的には排泄に関するもの、入浴に関するものなどです。このようなレンタルになじまない福祉用具を1~3割の負担で購入できるのが「特定福祉用具販売」です。特定福祉用具販売は1年度につき10万円を上限額として1~3割の負担で購入することができます([図表3]参照)。
筆者が祖母を介護していた際、この「特定福祉用具販売」を利用したことがあります。
祖母は自力で入浴することができず、専用の浴槽を使って看護師などが入浴の介助をしてくれる「訪問入浴」のサービスを利用していました。しかし、このサービスは毎日利用することはできませんでした。そこで、「特定福祉用具販売」を利用して、「シャワーチェア」と呼ばれる入浴用車いすを購入しました。
ベッドからシャワーチェアに移乗し、そのまま浴室でシャワーを浴びることができ、夏場汗をかきやすい時期などはとくに役に立ちました。
ひとり暮らしで入浴が困難になった場合でも、シャワーチェアのような福祉用具があれば、看護師やヘルパーの介助でシャワーを浴びることも可能になります。
小山 朝子
介護ジャーナリスト・介護福祉士
介護ジャーナリスト・介護福祉士
東京都生まれ。小学生時代は「ヤングケアラー」で、20代からは洋画家の祖母を約10年にわたり在宅で介護。この経験を契機に「介護ジャーナリスト」として活動を展開。介護現場を取材するほか、介護福祉士の資格も有する。ケアラー、ジャーナリスト、介護職の視点から執筆や講演を精力的に行い、介護ジャーナリストの草分け的存在に。ラジオのパーソナリティーやテレビなどの各種メディアでコメントするなど多方面で活躍。著書『介護というお仕事』(講談社)が2017年度「厚生労働省社会保障審議会推薦 児童福祉文化財」に選ばれた。日本在宅ホスピス協会役員、日本在宅ケアアライアンス食支援事業委員、東京都福祉サービス第三者評価認証評価者、All About「介護福祉士ガイド」も務める。
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