「認知症」「要介護状態」になっても“一人暮らし”を続けられる!進化した「介護サービス」と「AIアシスタント」【介護ジャーナリストが解説】

「認知症」「要介護状態」になっても“一人暮らし”を続けられる!進化した「介護サービス」と「AIアシスタント」【介護ジャーナリストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年の国勢調査によると、65歳以上の高齢者の5人に1人が一人暮らしです。もし一人暮らしの高齢者が認知症を発症したら、どうすればよいでしょうか。認知症で要介護状態になった場合に一人暮らしを続けながら利用できる公的サービス、日常生活に役立つ最新の技術について、介護ジャーナリストの小山朝子氏の著書『ひとり暮らしでも大丈夫! 自分で自分の介護をする本』(河出書房新社)から、一部抜粋してご紹介します。

要介護1〜5の人が受けられる「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

認知症で要介護状態になり、ひとり暮らしをしている方にとって便利なサービスがあります。24時間365日対応可能な「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。

 

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の具体的なサービスの形態には、以下の4種類があり、これらを適切に組み合わせて提供されます。

 

1. 食事や入浴の介助など短時間の訪問が複数回受けられる「定期巡回サービス」

2. 利用者宅に機器を設置し、オペレーターがその都度対応する「随時対応サービス」

3. 利用者から連絡を受けて必要と判断した場合だけ訪問する「随時訪問サービス」

4. 看護師が定期的に訪問する「訪問看護サービス」

 

1回の訪問は10~20分程度で、利用者のニーズに合わせてヘルパーや看護師が24時間対応します([図表1]参照)。

 

[図表1]「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のイメージ

 

依頼できるサービスの内容は以下の通りです。

 

・水分補給・薬の服用

・安否確認

・転倒介助

・オムツ交換

・就寝・起床介助・体位交換

・掃除・洗濯・買い物

・身体の清拭・衣類交換

・外出介助

・入浴介助

・トイレ誘導・排泄介助

・調理・食事の介助

 

たとえば、認知症の方で飲み忘れが忘れないように服薬時だけ訪問する、自力で寝返りが打てない方には褥瘡(じょくそう)(※1)をつくらないよう体位交換(※2)のために自宅を訪れるといった使い方ができます。

 

※1 褥瘡(じょくそう)…一般的に「床ずれ」とも呼ばれる。長く同じ姿勢でいることで皮膚に赤みや内出血、水疱、びらん(皮膚がただれている状態)などが生じた状態のこと

※2 体位交換…自力で体の向きを変えることが困難な人に他者が体の向きを変える介助をすること

 

事業所と同じ市区町村の住民であることが条件で、対象は要介護1~5の方です。ただし、介護保険の訪問介護や訪問看護、夜間対応型訪問介護は併用できないので注意しましょう。
 

通えて、泊まれて、訪問もしてもらえる「小規模多機能型居宅介護」

認知症になっても可能な限り自宅で暮らし続けたい──。そう願う人にとって、介護保険の「小規模多機能型居宅介護」は選択肢の1つとなるでしょう。

 

「小規模多機能型居宅介護」は必要なときに事業所に通ったり、短期間宿泊したり、自宅でスタッフの訪問を受けたりすることができます([図表2]参照)。

 

[図表2]小規模多機能型居宅介護のイメージ図

 

認知症の人が穏やかに暮らし続けるためには環境の急な変化は好ましくないとされていますが、このサービスは、ケアプランの作成からサービスの提供まで同じ事業所が担当するのが特徴で、スタッフと利用者は「馴染みの関係」となります。


さらに「通い」や「泊まり」を使う際の事業所も「通い慣れた」場所であり、利用者同士も「見慣れた」関係となり、認知症の利用者には安心につながります。このサービスはご近所の高齢者を民家などで受け入れて支えてきた「宅老所」がモデルとなっています。

 

「小規模多機能型居宅介護」は一連のサービスがパッケージ型で提供されるため、介護保険の「訪問介護」(ヘルパー)「通所介護」(デイサービス)「短期入所」(ショートステイ)等は利用できなくなるので注意しましょう。

 

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ひとり暮らしでも大丈夫! 自分で自分の介護をする本

ひとり暮らしでも大丈夫! 自分で自分の介護をする本

小山 朝子

河出書房新社

家族に面倒をかけたくない、施設に入らず最期まで自宅で過ごしたい…高齢になってもひとり暮らしを続けるために、公的サービスを上手に利用しながら在宅でケアを受ける知恵と方法を教える。

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