★登場人物
まねきミケ子
会社員(32歳)。同い年の自営業(イラストレーター)の夫と3歳の子どもとの3人暮らし。お金のことはやや無頓着。最近、将来の子どもの教育費や老後の資金が心配になり、お金の専門家のフジコ先生に相談している。
フジコ先生
ファイナンシャル・プランナーの資格を持つ経済の専門家。経済ジャーナリストとして「お金のことを誰よりもわかりやすく発信する」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報をあらゆるメディアで解説している。投資初心者のミケ子さんに、やさしく丁寧にお金の増やし方を伝授していく。
つみたてNISAで投資した資産、新NISA以降どうなりますか?
Point
これまでのNISAの資産は新NISAには移行されない
2024年以降もこれまでのNISAの資産は非課税期間終了まで非課税で保有できる
フジコ先生:これまでのNISAでは、一般NISAは5年、つみたてNISAは20年という非課税期間の定めがありました。そのため、非課税期間終了後、引き続きNISA口座で保有したい場合には、次の年のNISA枠へ資産を移す手続き(ロールオーバー)が必要でした。
ミケ子:なんだか面倒ですね…。
フジコ先生:新NISAでは、非課税期間が無期限なので、ロールオーバーという考え方自体がなくなりました。購入した商品を好きなタイミングで売却するだけなので、格段に運用が楽になります。
ミケ子:ず~っと運用が続けられるから、積立投資にもってこいの制度ですね。
フジコ先生:そう、それが新NISAの大きなメリットの一つです。
ミケ子:これまで一般NISAやつみたてNISAで保有していた資産は、新NISAに移るんですか?
フジコ先生:残念ながら、つみたてNISAや一般NISAの資産を新NISAに移すことはできません。
ミケ子:えー! そしたら、急いで売らないといけないんですか?
フジコ先生:そんなことはありません。非課税期間終了まではそのまま保有できます。2023年に一般NISAを利用した場合には2027年まで、つみたてNISAを利用した場合には2042年までは非課税で運用ができます。
ミケ子:そっか、新NISAが始まるからといって、旧NISAの非課税期間がいきなり終了するわけではないんですね。
フジコ先生:さらに、これまでのつみたてNISAを使用している場合、2024年になると新NISA口座が同じ金融機関に自動的に開設されます。
ミケ子:開設手続きをしなくてもいいんですね! それは助かる~!
フジコ先生:先ほど言ったように、新NISA口座が自動で開設された後も、これまでのNISAの資産は非課税期間終了までそのまま保有できます。つまり、2024年以降はこれまでのNISAと新NISAのそれぞれに資産を保有しておけるということです。
ミケ子:一時的にせよ、新旧両方のNISAで資産を持っておけるなんてお得な感じ♪ だけど、非課税期間が終了するとどうなるのでしょう?
フジコ先生:以前のNISAで購入した商品を非課税期間終了後も引き続き保有するのなら、その時の時価で課税口座へと移すことになります。
ミケ子:え~と、つまり2023年に投資した一般NISAの資産は2028年から、つみたてNISAの資産は2043年から課税口座に移されるということですね。
フジコ先生:はい。しかし、非課税がメリットのNISAなのに、課税口座へ移してしまうのは、それまでの運用成果を棒に振るようなものです。そうならないよう、以前のNISAを利用していた人は、非課税期間終了までに、値上がって売却できるタイミングがあればベストですね。
新NISAのスタートに合わせて金融機関を変更するには?
すでに旧NISAを利用している人の中には、新NISAに合わせて株式投資をしたい、ラインナップが充実した金融機関に移りたいといった理由から、金融機関の変更をしたいと考えている人もいるでしょう。まず、金融機関変更の基本ルールは以下の3つです。
■NISA口座は年単位で金融機関の変更が可能
■金融機関の変更は、変更する年の前年の10月1日~変更する年の9月30日までに手続きを完了する必要がある
■変更する年の1月1日以降、変更前の金融機関のNISA口座で買い付けがあると、その年分については金融機関を変更できない
これら3つの基本ルールを踏まえ、新NISAに合わせて金融機関の変更を行うケースを2パターン見ていきましょう。
①2023年に旧NISAで買い付けをしていない場合
⇒ すぐに手続きが可能です。2023年9月末までに手続きが完了すると、2024年から新しい金融機関で新NISAを開始できます。旧NISAを利用していた金融機関に発行してもらう書類もあるので、早めに手続きを済ませましょう。
②2023年に旧NISAで買い付けをしている場合
⇒ 金融機関の変更手続きが2023年10月1日からできるようになります。ホームページなどをチェックし、案内の開始を待ちましょう。
酒井 富士子
経済ジャーナリスト、FP
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