(画像はイメージです/PIXTA)

収益にかかる税金がゼロというお得な「つみたてNISA」がスタートしたのが2018年。そして2024年、NISA制度の使い勝手をさらによくした「新NISA」がスタートします。お得な活用方法をお金のプロが平易に解説します。※本連載は、酒井富士子氏の著書『知りたいことがぜんぶわかる!新NISA&iDeCoの超基本』(Gakken)より一部を抜粋・再編集したものです。

★登場人物

まねきミケ子

会社員(32歳)。同い年の自営業(イラストレーター)の夫と3歳の子どもとの3人暮らし。お金のことはやや無頓着。最近、将来の子どもの教育費や老後の資金が心配になり、お金の専門家のフジコ先生に相談している。

 

フジコ先生

ファイナンシャル・プランナーの資格を持つ経済の専門家。経済ジャーナリストとして「お金のことを誰よりもわかりやすく発信する」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報をあらゆるメディアで解説している。投資初心者のミケ子さんに、やさしく丁寧にお金の増やし方を伝授していく。

 

つみたてNISAで投資した資産、新NISA以降どうなりますか?

 Point 

これまでのNISAの資産は新NISAには移行されない

2024年以降もこれまでのNISAの資産は非課税期間終了まで非課税で保有できる

 

フジコ先生:これまでのNISAでは、一般NISAは5年、つみたてNISAは20年という非課税期間の定めがありました。そのため、非課税期間終了後、引き続きNISA口座で保有したい場合には、次の年のNISA枠へ資産を移す手続き(ロールオーバー)が必要でした。

 

ミケ子:なんだか面倒ですね…。

 

フジコ先生:新NISAでは、非課税期間が無期限なので、ロールオーバーという考え方自体がなくなりました。購入した商品を好きなタイミングで売却するだけなので、格段に運用が楽になります。

 

ミケ子:ず~っと運用が続けられるから、積立投資にもってこいの制度ですね。

 

フジコ先生:そう、それが新NISAの大きなメリットの一つです。

 

ミケ子:これまで一般NISAやつみたてNISAで保有していた資産は、新NISAに移るんですか?

 

フジコ先生:残念ながら、つみたてNISAや一般NISAの資産を新NISAに移すことはできません。

 

ミケ子:えー! そしたら、急いで売らないといけないんですか?

 

フジコ先生:そんなことはありません。非課税期間終了まではそのまま保有できます。2023年に一般NISAを利用した場合には2027年まで、つみたてNISAを利用した場合には2042年までは非課税で運用ができます。

 

ミケ子:そっか、新NISAが始まるからといって、旧NISAの非課税期間がいきなり終了するわけではないんですね。

 

[図表1]旧NISAと新NISAのスケジュール

 

フジコ先生:さらに、これまでのつみたてNISAを使用している場合、2024年になると新NISA口座が同じ金融機関に自動的に開設されます。

 

ミケ子:開設手続きをしなくてもいいんですね! それは助かる~!

 

フジコ先生:先ほど言ったように、新NISA口座が自動で開設された後も、これまでのNISAの資産は非課税期間終了までそのまま保有できます。つまり、2024年以降はこれまでのNISAと新NISAのそれぞれに資産を保有しておけるということです。

 

ミケ子:一時的にせよ、新旧両方のNISAで資産を持っておけるなんてお得な感じ♪ だけど、非課税期間が終了するとどうなるのでしょう?

 

フジコ先生:以前のNISAで購入した商品を非課税期間終了後も引き続き保有するのなら、その時の時価で課税口座へと移すことになります。

 

[図表2]23年中につみたてNISAを始めると非課税枠は?

 

ミケ子:え~と、つまり2023年に投資した一般NISAの資産は2028年から、つみたてNISAの資産は2043年から課税口座に移されるということですね。

 

フジコ先生:はい。しかし、非課税がメリットのNISAなのに、課税口座へ移してしまうのは、それまでの運用成果を棒に振るようなものです。そうならないよう、以前のNISAを利用していた人は、非課税期間終了までに、値上がって売却できるタイミングがあればベストですね。

新NISAのスタートに合わせて金融機関を変更するには?

すでに旧NISAを利用している人の中には、新NISAに合わせて株式投資をしたい、ラインナップが充実した金融機関に移りたいといった理由から、金融機関の変更をしたいと考えている人もいるでしょう。まず、金融機関変更の基本ルールは以下の3つです。

 

■NISA口座は年単位で金融機関の変更が可能

 

■金融機関の変更は、変更する年の前年の10月1日~変更する年の9月30日までに手続きを完了する必要がある

 

■変更する年の1月1日以降、変更前の金融機関のNISA口座で買い付けがあると、その年分については金融機関を変更できない

 

これら3つの基本ルールを踏まえ、新NISAに合わせて金融機関の変更を行うケースを2パターン見ていきましょう。

 

①2023年に旧NISAで買い付けをしていない場合

 

 すぐに手続きが可能です。2023年9月末までに手続きが完了すると、2024年から新しい金融機関で新NISAを開始できます。旧NISAを利用していた金融機関に発行してもらう書類もあるので、早めに手続きを済ませましょう。

 

②2023年に旧NISAで買い付けをしている場合

 

 金融機関の変更手続きが2023年10月1日からできるようになります。ホームページなどをチェックし、案内の開始を待ちましょう。

 

 

酒井 富士子
経済ジャーナリスト、FP

 

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※本連載は、酒井富士子氏の著書『知りたいことがぜんぶわかる!新NISA&iDeCoの超基本』(Gakken)より一部を抜粋・再編集したものです。

知りたいことがぜんぶわかる! 新NISA&iDeCoの超基本

知りたいことがぜんぶわかる! 新NISA&iDeCoの超基本

酒井 富士子

Gakken

「今のNISAはどうなるの?」 「成長投資枠の正解を教えて!」 「どんな銘柄を買えばいい?」 そんな悩みや疑問にお答えします! 投資のもうけにかかる税金がゼロになる制度・NISA(少額投資非課税制度)が大改正! す…

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