高齢化社会が進み、誰もが介護が必要になる可能性があります。10年にわたり祖母を在宅で介護した経験をもつ介護ジャーナリスト・小山朝子氏は、介護保険制度やその他の制度を利用すれば、ひとり暮らしでも最期まで自宅で過ごすことも可能だといいます。介護保険の基本的なしくみと利用のための手続きについて、小山氏の著書『ひとり暮らしでも大丈夫! 自分で自分の介護をする本』(河出書房新社)から一部抜粋して紹介します。
介護保険の「申請から利用」までの流れ
窓口に相談に出向き、「要介護・要支援の申請をする」という流れになった場合、申請の手続きは本人のみならず家族や居宅介護支援事業者などが代行できます。申請後は介護認定調査員の訪問による調査を受けます。
また、主治医がその人の心身の状況について意見書(主治医意見書)を作成します。この後おこなわれる審査・判定は、「コンピュータによる1次判定」と「介護認定審査会による2次判定」があります。
このような流れを経て、最終的に市区町村が認定を行い、結果が通知されます。結果は介護予防サービスが受けられる「要支援1・2」、介護サービスが受けられる「要介護1~5」、支援も介護も必要ない状態の「非該当」に分けられます([図表3]参照)。
なお、申請から認定までは原則30日以内としていますが、年末年始などで30日以上かかったという話も聞きます。必要に応じて認定前でも介護サービスを利用できる場合がありますので、地域包括支援センターの職員や介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談するとよいでしょう。
小山 朝子
介護ジャーナリスト・介護福祉士
介護ジャーナリスト・介護福祉士
東京都生まれ。小学生時代は「ヤングケアラー」で、20代からは洋画家の祖母を約10年にわたり在宅で介護。この経験を契機に「介護ジャーナリスト」として活動を展開。介護現場を取材するほか、介護福祉士の資格も有する。ケアラー、ジャーナリスト、介護職の視点から執筆や講演を精力的に行い、介護ジャーナリストの草分け的存在に。ラジオのパーソナリティーやテレビなどの各種メディアでコメントするなど多方面で活躍。著書『介護というお仕事』(講談社)が2017年度「厚生労働省社会保障審議会推薦 児童福祉文化財」に選ばれた。日本在宅ホスピス協会役員、日本在宅ケアアライアンス食支援事業委員、東京都福祉サービス第三者評価認証評価者、All About「介護福祉士ガイド」も務める。
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