※画像はイメージです/PIXTA

春を迎えて活気が出てきたニュージーランドの不動産業界。売り出し物件数も、8月の対前年比でみると軒並み増加傾向です。現地の最新事情と、外国人投資家の方々にお勧めの物件について、現地のベテランバイヤーが解説します。※本記事は、2023年9月11日現在の情報に基づいて執筆されています。

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    春に向けて活気づく、NZの不動産業界

    南半球のニュージーランドにも春が到来。朝晩の冷え込みはありますが、暦の上ではもう春です。9月24日には「デイライト・セービング」と呼ばれるサマータイムが開始され、3時間だった日本との時差も4時間になります。

     

    ニュージーランドの不動産業界は、春先から初夏、9月頃から年末のクリスマス前までが繁忙期です。最近では新規のお客様が増え、相談ラッシュも始まり、我々も一気に春気分になってきました。

     

    新規のお客様が増えると、毎回のように「いまは売りどき? それとも買いどき?」と聞かれるのですが、筆者はいつも「思い立ったときが行動開始のときですよ」と答えています。

     

    しかし、来月の14日には解散総選挙が控えています。政治の動向によって金利が変化し、不動産売買の状況も大きく変わるため、「選挙結果を待って行動したい」と考える方の気持ちもよくわかります。

     

    とはいえ、やはり「思い立ったが吉日」。タイミングを待つのではなく、自ら行動してチャンスを掴みに行くことが大切なのです。

    売り出し物件数、8月の前年度比では軒並み上昇傾向に

    売り出し物件数の現状ですが、8月の前年度比で、オークランド5.5%、サウスランド地方6.6%、ウェストコースト地方7.1%、ノースランド地方9.1%、カンタベリー地方14.4%、ネルソン地方18.8%、セントラルノースランド地区24.7%、マルボロ地方29.1%と、上昇傾向にあります。

     

    繁忙期の9月に入り、我々不動産業者は、新規売り出し物件の獲得と同時にオークション販売を強化。弊社オフィスのオークションルーム内での合同オークションも活発化しています。

     

    先月のオークション成立結果は70%と、一時期は50%を下回っていた状況からは脱出し、これからの9月~11月は、繁忙期である分、オークションでの短期販売を目指そう、というのが目下の目標です。

     

    ここ数年、とくに昨年度はオークション成功率の低下が目立ち、また、販売方法としても敬遠されていました。そこで苦肉の策として「期日付き販売(=Dead Line Sale)」という、販売をする期限を決めてその日までの期間にオファーをしてもらう、という販売方法をとっていました。この「期日付き販売」については『NZ不動産「住宅価格、100万NZドル突破」の一方で…営業マン〈買い手市場〉のマーケットで肉体疲労を募らせるワケ』で詳しく解説しています。

     

    明確な価格提示をせず「要相談」とだけしておくと、買い手側としてはオファーのタイミングが計れませんし、売り手側もオファーがなければ何人オファーをしてくれるのかの目途が立ちません。その結果、ほかのオファーがないまま、最初にオファーをした方と交渉・契約へ…と進めているところへ、ひと足違いでさらに良い条件のオファーが出てくる、といった悲劇が起きる可能性があります。

     

    その点、オークションなら、オファーが複数あればそのなかの最高価格で売ることができますし、無条件で買い手が決まるので、売り手としては資金精算時期の計画が立てやすい、という大きなメリットがあります。

     

    一方、買い手にとっては、値段の跳ね上がりやすいオークションは回避したい方法ではありますが、気に入った家がオークションに出るならば、参加せざるを得ません。

     

    とはいえ、オークションが成立しなければ、交渉のチャンスも出てきます。そのため、オークション当日の状況を見て、競り合う価格がご自身の予算と合えば、オークションでの購入に挑みますし、オークションで誰も手を挙げていなければ、そこでグッと我慢し、オークション不成立を見届けたうえで、条件付きの契約オファーをだせば、当初の価格よりも安く購入できるチャンスがあるかもしれません。

    外国人投資家へのお勧めは、断然「商業用物件」

    ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする不穏な世界情勢、異常気象、円安…。日本の方々も、このまま資産を日本で運用し続けていいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。上述しましたが、投資で成功するには、チャンスを待つのではなく、自ら掴みに行くという姿勢も大切です。ニュージーランドにも一度観光を兼ねて訪れていただくと、現地の不動産への投資メリットを実感いただけるのではないかと思います。

     

    不動産投資を兼ねた海外移住にチャレンジされた方のなかには、手ごろな不動産価格と永住権の取りやすさに魅力を感じて決断したのに、実際には現地での生活になじめず、投資もうまくいかず、あきらめて銀行口座の解約を申し出ても手続きは遅々として進まず…といった悲しい状況に陥るケースも、実際にあります。

     

    ニュージーランドでは、筆者が知る限り、デベロッパー側にも投資家側にも厳しい審査が行われ、資金の出どころも調査され、確かな取引がおこなえる制度が確立されていることから、比較的低リスクだといえます。

     

    ニュージーランドで、外国人の方が投資でき、なおかつチャンスのある物件は「商業用物件」です。最低価格25万NZドル相当(約2,100万円)から購入できる物件もあります。

     

    投資をすれば現地の銀行口座が開設できますし、家賃保証もあります。長期契約ができるほど投資効率がよく、運営する価値は高いといえます。

     

    一方、予算資金100万NZドル(約8,600万円)以上の価格帯になりますが、土地を購入して、物件建設をする開発事業を行うことができれば、さらに大きなチャンスがあるといえます。上記の予算は、オークランドを主体とする価格帯ですが、地方都市に行けば、その価格以下で単独開発と共同開発、どちらでも充分開発にチャレンジできます。

     

    いきなり異国の地で土地開発から…というのは、一般の方々にはハードルが高いかもしれませんが、その場合は既存の商業用物件を購入して小規模な投資から経験を積んでみてはいかがでしょうか。その後、少し自信がついたら、大きな投資にチャレンジをしていく、という段階を踏んだ投資方法をお勧めします。

     

    ラグビー・ワールドカップが開幕し、ラグビー大国・ニュージーランドでは大きな盛り上がりを見せています。昼夜逆転のテレビ中継にもかかわらず、キーウィたちは応援に励んでいます。熱中するあまり、不動産見学のオープンホームの訪問者数に影響がないかヒヤヒヤしています。

     

     

    一色 良子
    Goo Property NZ LTD 代表取締役社長
    Harcourts -Shelter Realty Ltd 所属

     

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