「年金月額20万円・貯蓄2,000万円」でも…国民の過半数が罹患する「がん」になったら全財産消失のおそれ…迷わずとるべき「有効な対策」とは

「年金月額20万円・貯蓄2,000万円」でも…国民の過半数が罹患する「がん」になったら全財産消失のおそれ…迷わずとるべき「有効な対策」とは
(※画像はイメージです/PIXTA)

国立がん研究センターの「最新がん統計」によれば、生涯のうちに「がん」にかかる確率は50%を超えます。老後にがんを発症すると、選択する治療方法によっては多額のお金がかかる可能性があります。「公的医療保険」が充実しているにもかかわらず、なぜそのようなことが起きるのでしょうか。また、有効な対策はあるのでしょうか。本記事で解説します。

年金月額20万円・貯金2,000万円あれば老後生活はなんとかなる…という試算

少し前に取り沙汰された「老後2,000万円」ではありませんが、2,000万円の貯蓄があれば、老後に最低日常生活費での生活ができるという試算が成り立ちえます。

 

どういうことか。まず、生命保険文化センター「生活保障に関する調査(2022年度)」によれば、「老後の最低日常生活費」は月額で平均23万2,000円、「ゆとりある老後生活費」は月額37万9,000円です。

 

「老後の最低日常生活費」は年間278万4,000円。仮に60歳から90歳までの30年間生きるとして、合計金額は8,352万円になります。一方、ゆとりある老後生活費は年間454万8,000円、30年で1億3,644万円です。

 

これに対し、厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、高齢夫婦無職世帯の平均の年金月額は、厚生年金が14万5,665円、国民年金が5万6,479円、合計20万2,144円です。30年間で合計約7,277万円です。

 

「老後の最低日常生活費」を確保しようとするならば、差額は約1,075万円。年金に加え、それに加え貯蓄が2,000万円もあれば十分ということになります。

 

しかし、がんに罹患すると、とたんに暮らしが暗転する可能性があります。

がんになったら貯蓄が「治療費」に消えてしまう可能性も…

そんなわけはない、と思うかもしれません。なぜなら、日本の公的医療保険制度においては、自己負担額が「3割負担」「2割負担」「1割負担」と抑えられているうえに、「高額療養費制度」によって月ごとの自己負担額にも上限が設けられているからです。

 

しかし、そうであるにもかかわらず、数百万、場合によっては数千万という高額な治療費を自己負担しなければならない可能性があります。想定されるのは以下の2つのケースです。

 

1. 治療が長期化し、毎月の負担が積み重なっていくケース

2. 治療費の全部または一部が公的医療保険の適応外であるケース

 

そして、がんの場合、老後にかかる可能性のある病気のなかでも、これらにあてはまるリスクが高いといえるのです。それぞれについて説明します。

 

◆1. 治療が長期化し、毎月の負担が積み重なっていくケース

第一に、治療が長期化し、毎月の負担が積み重なっていくケースです。高額療養費制度は、あくまでも、1ヵ月あたりの自己負担額の上限を定めるものです。治療が1ヵ月で終わらず、長期化すると、1ヵ月あたりの自己負担が積み重なっていくことになります。

 

がんにかかると、治療が長期化することがあります。典型的なのは、がんを手術で切除しきれず継続的に抗がん剤治療等を続ける場合や、がんが転移した場合です。

 

◆2. 治療費の全部または一部が公的医療保険の適応外であるケース

第二に、治療費の全部または一部が公的医療保険の適応外であるケースです。これは、主に2つの場合が想定されます。公的医療保険制度の対象外である「自由診療」を受けるケースと、技術料が自己負担になる「先進医療」を受けるケースです。

 

これらの場合、数百万円、場合によっては1,000万円を超える額を自己負担しなければならない可能性があります。

 

「抗がん剤治療」を選ぶ場合、運悪く、自分のがんに効く外国の抗がん剤が、日本国内で未承認だったというケースがありえます。その場合、公的医療保険がきかない「自由診療」ということになってしまいます。「3割負担」も「高額療養費制度」も、対象外ということになり、治療費が高額なせいで、治療をあきらめなければならなくなってしまう可能性があるのです。

 

このように、いかに日本の公的医療保険制度が充実しているとはいっても、がんの場合、カバーしきれない場合が想定されます。

 

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