止まらぬ物価高、上がらない給与……日本全体にどこか停滞感が漂いますが、そんなのどこ吹く風というような高所得のサラリーマンたち。ただ、そのすべてが万事順調というわけではなく、なかには自己破産に追い込まれる人もいるとか。みていきましょう。
「年収1,100万円・40代のサラリーマン」の大転落…ローン月8.7万円払えず、貯金2,000万円は没収、エリートが〈自己破産〉へ陥ったワケ (写真はイメージです/PIXTA)

自己破産の理由「低所得」が6割だが…高所得でも破産に陥る可能性

月収80万円、年収1,200万円を超える40代エリート。総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)で、この年収帯の家計収支をみると以下の通り。住居費は持ち家や賃貸含めた平均値なので低めですが、この年代の住宅ローン返済世帯に限ると、平均月8万7,000円ほどの返済負担を抱えています。一方で高所得世帯の貯蓄は平均2,000万円を超え、平均的な家庭と比べると余裕のある暮らしぶりが想像できます。

 

【「年収1,200万円世帯」の1ヵ月の収支】

食料:100,420円

住居:21,146円

光熱・水道:25,907円

家具・家事用品:16,646円

被服及び履物:18,133円

保健医療:17,920円

交通・通信:63,473円

教育:42,296円

教養娯楽:48,925円

 

確かにこれで「うちも色々と大変なんだよ」といわれたら、嫌味にしか聞こえません。ただそんなエリートのすべてが順風満帆かといえば、そうではないようです。

 

――うちの課長がとんだらしい

 

小耳にはさんだ噂話を呟く、30代の女性会社員。とんだというのは、出世コースの先頭を走る40代の課長だといいます。課長の同期から話を聞いたところによると、どうも自己破産に追い込まれた、とのこと。

 

借金を自分の力ではどうすることもできなかったとき、ひとつの選択肢となるのが「自己破産」。2022年の「破産件数」は7万0,602件(新受件数)で、そのうち「自己破産」は6万4,833件でした。

 

日本弁護士連合会『2020年 破産事件及び個人再生事件記録調査』によると、自己破産理由の1位は「生活苦・低所得」で61.69%。「経済的に苦しい→借金が膨れ上がる→自己破産」というケースが6割を占めます。

 

【「自己破産理由」トップ5※複数回答】

1位「生活苦・低所得」61.69%

2位「病気・医療費」23.31%

3位「負債の返済(保証以外)」20.48%

4位「失業・転職」17.58%

5位「事業資金」16.13%

 

一方で、収入とは関係のない破産理由も。たとえば「教育資金」9.84%、「住宅購入」7.26%。

 

――子どもを全員私立に通わせているが家計が火の車

――ちょっと無理して高級マンションを買ったが返済が苦しい

 

そんな見栄などから、身の丈以上の支出が恒常化し破綻する高収入世帯も珍しくありません。また「浪費・遊興費」11.37%、「ギャンブル」7.18%と、「あればあるほど使ってしまう」という人たちも。これらは、度が過ぎると治療が必要になるもの。高収入の人手も十分に考えられる破産理由です。もちろん、このようなケースは珍しく、実際に高所得で自己破産に至る人はかなりの少数派ですが、余裕しゃくしゃくで胡坐をかいていられるほどではないようです。

 

ちなみに呟きで登場した課長は、会社に内緒に飲食業を開業し、資金繰りがうまくいかずに自己破産に至ったのだとか。お金がなければ会社に内緒で店を出すこともないので、高収入エリートらしい破産理由といえそうです。