止まらぬ物価高、上がらない給与……日本全体にどこか停滞感が漂いますが、そんなのどこ吹く風というような高所得のサラリーマンたち。ただ、そのすべてが万事順調というわけではなく、なかには自己破産に追い込まれる人もいるとか。みていきましょう。
「年収1,100万円・40代のサラリーマン」の大転落…ローン月8.7万円払えず、貯金2,000万円は没収、エリートが〈自己破産〉へ陥ったワケ (写真はイメージです/PIXTA)

自己破産…給与は差し押さえの対象か?

自己破産には、手続き開始と同時に破産手続が廃止になる「同時廃止事件」、破産管財人による破産手続が実施される「管財事件」、弁護士に依頼した場合に利用できる、通常より費用が安く収まる管財事件である「少額管財事件」の3つがあります。

 

破産手続は、裁判所に選任された破産管財人が破産者の財産調査を行い、必要に応じて財産を現金化し、債権者に分配する手続き。一般的に破産者が現金化できるほどの財産を所有していない場合は同時廃止事件、価値の高い資産を持っている場合は「管財事件」が実施されます。

 

自己破産は、財産の換価処分を前提とした手続きですが、保有財産をすべて失うわけではありません。しかし自動車やマイホーム、20万円以上の財産等は差押えの対象になる可能性が高いもの。平均2,000万円を超えるとされる、高収入世帯の預貯金も差し押さえの対象です。ほかにもブラックリストにのったり、郵便物が破産管財人に転送されたりするなど、自己破産にはデメリットがあります。しかし「借金が全額免除」となるのは大きなメリットだといえるでしょう。

 

「給与」も差し押さえの対象となるのかは気になるところですが、原則、給与は差し押さえの対象外。しかし破産手続き開始時点で受け取る予定の給与(給与債権)は、その一部が差し押さえの対象となります。ただ全額ではなく、上限33万円で給与債権の4分の3は手元に残すことができます。また給与債権については、実務上は差し押さえらることはほとんどないといいます。

 

しかし給与口座に振り込まれる貯まった給料は預貯金として差し押さえの対象となり、99万円を超える財産は差し押さえの対象になります。一方で破産手続き開始後の財産は差し押さえの対象外。自由に使っても問題ありません。しかしこのことが「高所得者の自己破産逃れ」と批判の対象になることがあります。