資産形成の重要性が叫ばれて久しいですが、いまだに「将来、年金をいくらくらいもらえるか」を把握している人は少ないもの。それは定年を前にした50代も同じ。定年直前に、しっかりと自身の老後に向き合ったら……「このままじゃ、生きていけない!」という事実が判明し、あたふたしている人も珍しくありません。みていきましょう。
年金だけで暮らせません!月収41万円・59歳サラリーマン、定年前に知る「唖然の年金月額」…60歳からできる2つの老後資金対策 (写真はイメージです/PIXTA)

50代でも「将来受け取れる年金額」を意外と知らない

少し前の調査になりますが、日本銀行が2019年に行った『金融リテラシー調査』によると、50代で「受け取れる公的年金の金額を知らない」と回答したのは62%にものぼりました。

 

【50代「自分の公的年金」についての理解】

・受け取れる金額:知らない62.6%

・自分が何号被保険者か:知らない51.3%

・年金受給のために必要な加入期間:知らない50.7%

・年金の支給開始年齢:知らない49.5%

・加入している公的年金の種類:知らない28.8%

 

出所:日本銀行『金融リテラシー調査2019年』より

 

さらに退職後の生活費について意識している人は8割に達するものも、「退職後の生活費はいくら必要か」までを認識している人は5割、「その必要額を確保している」はわずか26%だけでした。

 

昨今は資産形成への関心が高まり、年金に対しても理解は進んでいると思われます。一方で、上記の3年前、2016年に行われた同調査と比較すると数値的な変化はほぼない、ということを鑑みると、年金に対する関心や理解はそれほど変わっていない可能性も否定できません。

 

日本の年金はよく3階建てに例えられ、1階部分は20歳から60歳までの国民が全員加入する「国民年金」。さらに会社員や公務員は2階部分となる「厚生年金」、3階部分は各々が任意で加入する「私的年金」となります。

 

国民年金はの受取額は「年金額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)」で計算。令和5年度の年金額は67歳以下の場合、満額で月6万6,250円。仮に5年(60ヵ月)の保険料の未納期間があれば、月5.8万円ほどになります。

 

厚生年金は加入期間が2003年3月までは①「平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数」、加入期間2003年4月以降は②「平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数」で計算できます。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、男性会社員の平均給与は月収で34.2万円、年収で554.9万円。仮に20~60歳までずっと平均給与を手にしてきたとしたら、65歳で手にする厚生年金は月10.3万円。国民年金を満額もらえるとしたら、月に17万円ほど年金がもらえる計算です。

 

しかし実際にどれだけ保険料を払い、それによってどれだけ年金がもらえるか、把握し、計算するのはなかなか大変なこと。そこでチェックしたいのが、毎年、誕生月に手元に届く「ねんきん定期便」です。

 

50歳未満(35歳、45歳除く)であれば、保険料の納付実績とその実績に応じた年金額、50歳以上(59歳除く)であれば、保険料の納付実績とともに、老齢年金の種類と見込額が記されています。さらに35歳、45歳、59歳は、細かな納付実績などが封書で届きます。つまり50歳以上であれば、このままキャリアを続けていくことを前提とした、65歳からもらえる年金額を知ることができる、というわけです。