(※写真はイメージです/PIXTA)

生前に被相続人から特定の相続人が受けた利益である「特別受益」をご存じでしょうか? 今回は、その「特別受益」にまつわるトラブル等を解説していきます。

“贈与税をかけずに”現金を贈与する方法3つ

親子間で贈与をする場合、贈与税がかからない方法を3つ紹介しましょう。

 

暦年贈与

贈与者が受贈者1人につき、年間110万円以下の贈与額に抑えて毎年贈与する方法です。贈与契約書を毎年作成していれば、税務署に課税されないことを示す証拠ともなります。

 

受贈者1人につき110万円の基礎控除なので、例えば子供が3人いたら均等に110万円(合計330万円)ずつ受贈者に課税されず、毎年贈与できます。

 

相続時精算課税制度

相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子(孫)へ贈与が行われる際、子(孫)の選択により利用できる制度です。2,500万円の特別控除が用意され、特別控除の限度額に達するまで贈与税は課されません。ただし、限度額を超えれば超過分に一律20%の贈与税が課されます。

 

また、本制度は2,500万円分の課税を、相続が発生するまで猶予される仕組みをとります。つまり、相続時に贈与された分も課税対象となるのです。

 

その他、相続時精算課税と暦年課税の併用はできないので注意が必要です。

 

本制度の利用には手続きが必要で、受贈者が最初の贈与年の翌年2月1日~3月15日までに納税地の税務署へ、相続時精算課税選択届出書や戸籍謄本等と共に贈与税申告書を添付し、提出しなければいけません。

 

なお、2024年1月からは相続時精算課税制度が改正され、特別控除2500万円分とは別に年間110万円まで基礎控除が認められます。

 

年間110万円までの贈与ならば、贈与税の申告・納税が不要、相続税もかかりません。

 

住宅取得等資金の贈与税の特例

父母や祖父母から18歳以上の子や孫に対し、一定の要件のもとで住宅取得等資金が贈与された場合、最高1,000万円の贈与税が非課税となる制度です。

 

主な適用要件は次の通りです。

 

・住宅取得等資金を2023年12月31日までに贈与

 

・贈与年の受贈者の合計所得金額が原則2,000万円以下

 

さらに、質の高い住宅(1,000万円の非課税限度額)と認められるためには

 

・耐熱性能等級4以上もしくは一次エネルギー消費量等級4以上

 

・耐震等級2以上もしくは免振建築物

 

・高齢者等配慮対策等級3以上

 

いずれかに該当する必要があります。

 

なお、利用期限は4ヵ月後にまで迫っていますが、期間は延長される可能性もあります。国土交通省のホームページをこまめに確認しておきましょう。

現金手渡しでの生前贈与は避けた方がよい? 理由は?

生前贈与で現金を手渡す方法はなるべく避けた方が無難です。確かに現金を手渡す方法は、とても簡単で面倒な手続きは不要な点はメリットです。

 

しかし、手渡しの場合は贈与契約書を作成しても、「110万円以内で現金を手渡した。」という履歴が残らない点はデメリットといえます。履歴がないと税務署に贈与税の発生を疑われた場合、受贈者側は契約書通りの内容で贈与した、という有効な証拠が提示できなくなります。

 

そのため現金を贈与する場合は、銀行振り込みを利用した方が良いでしょう。銀行振り込みにすれば履歴が残り、契約書通りの内容で贈与された事実が一目でわかります。

 

なお、贈与税に関して不明な点や疑問があるなら、税の専門家である「税理士」に相談してみましょう。税の知識に精通している税理士なら、相談者の質問にわかりやすく回答してくれるはずです。

 

 

株式会社サステナブルスタイル

後藤 光

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