中国が関心を寄せるスリランカの北部および東部州とは?
「中国はスリランカの北部および東部州への投資に関心を示している。しかし、戦略的な港湾地区であるトリンコマリーでの開発は、島嶼国憲法修正第13条に沿ってインドとの合意のもとに行われなければならない」と、シヴァネストゥライ・サンティラカンタン地方道路開発担当大臣は述べた。
スリランカの北部州と東部州は南インドのタミル・ナードゥ州と近接しており、インドは、タミル・ナードゥ州と文化的に類似しているスリランカの少数民族タミルが主導する両州における中国の活動活発化に対して、安全保障上の懸念を継続的に提起してきた。
バティカロア東部地区選出の議員であるサンティラカンタン氏は、「トリンコマリー港、石油タンクファーム、およびその周辺地域の開発は、デリー政府の合意のもとに行われるべきだ」と述べた。
「トリンコマリー地区は国際的観光スポットだ。国際協定修正第13条にもとづき、トリンコマリーの開発はインドとの合意の下で行われるべきである」とサンティラカンタン氏はコロンボ(スリランカの最大都市)での記者会見で、中央政府の権限を地方に移譲するスリランカの憲法改正に触れ、こう述べた。これに対し、スリランカの民族多数派のシンハラ人たちは反対している。
増加する中国資本におけるスリランカへの投資
インドは1970年代後半からトリンコマリー港を狙っていた。トリンコマリーはスリランカで最も鉱物資源に恵まれた地区のひとつである。最もよく知られた鉱物砂鉱床はトリンコマリーの北部にある。この鉱床で見られる主な鉱物はイルメナイトとルチルであり、その他の関連鉱物は、ジルコン、モナザイト、ガーネット、シリマナイト、他いくつかの重鉱物もある。
中国資本におけるスリランカへのインフラ・プロジェクトや投資が増加するという地政学的な懸念の中、多くのインド・プロジェクトはゆっくりとしたペースで進んでいる。
「トリンコマリーの問題は感情的な問題でもあり、法律を考慮しなければならない問題でもある」とサンティラカンタン氏は続けた。
「誰にでも投資のチャンスはある。特に、魚やカニの養殖といった水産物の分野では、主にヨーロッパ諸国やオーストラリアからの企業が東部を訪れている。興味があれば誰でも投資できる。私たちの目的は、生産量を増やし、地元の人々の貧困を減らすことだ」(サンティラカンタン氏)
インドは、インド洋への安全保障上の脅威を理由に、北部と東部の両州に進出する中国の投資や二国間活動に対して繰り返し懸念を表明してきた。
サンティラカンタン氏「私たちはどんな国でも支援する」
スリランカは、1987年のインド・スリランカ協定後に発効した第13条改正に従って、インド洋地域への脅威とみなされる事象、すなわちインドの安全保障上に関連する懸念に対処しなければならないことになっている。
スリランカは2年前、スリランカ北部の3つの再生可能エネルギー・プロジェクトを、インドが強い懸念を示したため中止せざるを得なくなった。
「中国政府は現在、北部と東部での開発活動を優先しており、いくつかの企業はすでに話し合いを行っている。
いまは主に、バティカロア地区でのカシューナッツ生産について議論している。現在、約80万8,913平方メートルの国有地でカシューナッツが栽培されている。彼ら(中国政府)はその土地を最大限に活用していない。もしどこかの国や企業がやってきて、その開発を支援してくれるなら、それは大きな助けになるだろう。私たちは、この種のプロジェクトに名乗りを上げてくれる国なら、どんな国でも支援する」(サンティラカンタン氏)