(※写真はイメージです/PIXTA)

キャッシュレス決済が普及する昨今でも、高齢者を中心に“現金主義者”は多く、「いちいち銀行に行くのが面倒だから」とタンス預金をしている人も少なくありません。そのようななか、たとえば親が亡くなり子がタンス預金を見つけた際、対応を誤ると「悲惨な末路」が待っていると、司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏はいいます。事例をもとに、親のタンス預金を見つけた場合の対処法をみていきましょう。

できれば相続発生前に「贈与契約」を

また、相続人のうち1人がこのようにタンス預金をネコババしていた事実が発覚した場合、これが原因で相続時にトラブルに発展することも考えられます。

 

そのため、タンス預金を見つけてしまった場合には、相続財産として遺産分割の対象にしていくのがいいでしょう。

 

それから、トラブルを防ぐためには、「他の人に内緒にして勝手にもらう」のではなく「生前にきちんとした手続きを踏んでもらう」ということが重要です。これはすなわち、「生前贈与」をしてもらうということです。こうすれば、トラブルは必ず防止できます。

 

たとえ親族間であっても贈与契約を締結し、しっかり贈与契約書を残すことが大切です。ご存知の方も多いかもしれませんが、年間110万円までは贈与税がかかりませんので(=暦年贈与)、今回の事例でいうと65万円であれば、非課税枠の範囲内できちんともらうことができます。

 

内緒でもらうことはせず、相続時の紛争リスクを回避する方法を考えるべきです。

相続争いは「財産が少額の家庭」こそ起こりやすい

「相続争い」と聞くと、「お金持ちや資産家などに発生するもので、一般家庭や財産の少ないところには縁のないこと」と思ってしまいがちですが、実際の“争族”は少額財産のみの場合のほうが起こりやすいです。

 

財産が少ないからこそ、「少しでも多くもらいたい」という気持ちが生じてトラブルになりやすくなります。

 

今回の事例における「65万円のへそくり(タンス預金)」というのも、生前にきちんと贈与契約を締結しておけばのちにトラブルになることはありません。一方、少額であってもネコババしてしまえば、それをきっかけにこれまで良好だった親族関係に亀裂が生じる危険性があります。

 

税務リスク・相続争いのリスク・親族間の不仲を招くリスクなど、さまざまなリスクを回避するために、むしろ少額だからこそ、へそくりも相続財産として適切な手続きを行うのが望ましいです。

 

もし生前に贈与契約などを結べるのであればそれが一番適切ですし、そうでないのであれば相続財産の一部としてきっちり遺産分割をしていきましょう。

 

<<<【司法書士が解説】タンス預金をネコババした場合のリスクとは?>>>

 

 

加陽 麻里布

司法書士法人永田町事務所

代表司法書士

 

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