自衛隊の筆記試験は「珍回答」続出…同期全員が腹筋崩壊した“トンデモ解答”【Xフォロワー24万人超・元陸上自衛官の実録】

自衛隊の筆記試験は「珍回答」続出…同期全員が腹筋崩壊した“トンデモ解答”【Xフォロワー24万人超・元陸上自衛官の実録】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「強く堂々とした、立派な男子」を意味する言葉、「ますらお」。もはや死語に近いともいえますが、日本にはその消えゆく「ますらお」達の育成教育を行う組織がいくつかあります。その一つが陸上自衛隊です。陸上自衛隊(ますらお)というと世間には「常に真剣な眼差しで冗談が許されない組織」という印象がありますが、メディアには映されないオフ時にこそ面白いエピソードが満載だといいます。元陸上自衛官・ぱやぱやくん氏の著書『陸上自衛隊ますらお日記』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、見ていきましょう。

<前回記事>世間はまだ知らない…元自衛官が「自衛官が教える魔法の靴磨き!」という謎動画を出しがちなワケ【Xフォロワー24万人超・元陸上自衛官が解説】

勉強しない人は陸上自衛隊(ますらお)になれない

ますらおは肉体的に強く、小銃の取り扱いが上手いだけではダメです。しっかりと知識を身につけ、戦士としての素養を磨かなくてはなりません。自衛隊では様々な技能や知識を身につけるために、座学教育をしっかり行います。ただ、勉強があまり得意ではないますらおもいるので、少し頓珍漢(とんちんかん)なエピソードも生まれるのです。

「分からなくてもとにかく全問記載しろ!」→珍解答が炸裂

座学教育には、学校のテストのように筆記試験があります。この試験の成績は今後の昇任や序列に関係するので、真剣に行わなくてはいけません。また、新隊員であれば、合格しないと外出禁止などのペナルティが発生するので、「勉強したくないから自衛隊に入ったのに、さんざん勉強させられた」と言う人もいるぐらいです。

 

陸上自衛隊では、「試験は分からなくてもとにかく全問記載しろ! 空白を作るな」という文化があるため、珍解答が続出しがちです。新隊員のテストでは「パナーム弾」「100式戦車」「500mm弾」などの珍兵器が次々に誕生し、パラレルワールドに突入することもあります。これを聞くと「ふざけているのか?」と思うかもしれませんが、彼らがつい最近まで高校生だったことを忘れてはなりません。銃や兵器にまったく興味がなかった人も多く、どうしてもこのような珍解答が生まれるのです。

部分点だけでも欲しい…必死に解答した結果、トンデモ兵器爆誕

また、陸上自衛隊には、不正解でも解答が少しでも合っていれば「部分点がもらえる」という伝統があります。特に、陸曹教育隊の試験は点数が将来の昇任に直結するため、みんな分からない問題があっても死に物狂いで部分点を取ろうとします。

 

そんな将来の昇任が掛かった試験で「ホスゲンやジホスゲンなどは(  )に分類される化学兵器である」という問題が出たようです。テストを受けた中の一人が、その答えがどうしても頭に浮かばず、頭の中には「神経剤」「びらん剤」「マスタードガス」が浮かんできて、彼はそれらをミックスさせて「神経びらびらガス」を開発しました。これで部分点はもらえると思ったそうですが、正解は「窒息剤」。それを聞いて同期一同死ぬほど笑って窒息しかけたようです。

ミリオタ隊員は大活躍、体育会系のますらおは大苦戦

ちなみに、兵器識別などの課目になるとミリオタ隊員が活躍します。彼らは陸上自衛隊に入隊する前から戦車や戦闘機が大好きで、土日には戦争を題材にしたゲームに熱中するような隊員達です。彼らは体力がそんなにない人が多いので、訓練ではヘロヘロになることが多いですが、座学では目をキラキラさせて「ほう、BTR-90(ロシアの装甲車)ですね!」や「〇〇事件のときは〜」と語ります。割とオタク的な知識が活きる職業であるともいえます。

 

一方、体育会系出身の隊員はミリタリー趣味がほとんどないので、「戦闘機なんて判別つかないだろ…」と苦戦をしながら覚える姿をよく目にします。「体力検定は余裕で合格できるのに筆記試験は合格できない隊員」も意外といるのです。

 

自衛隊の筆記試験では、一般的な高校合格レベルの基礎学力が求められるので、勉強をまともにやってこなかったますらお達はかなり苦戦してしまいます。多くの場合において、「因数? 分解?」というレベルから始まりますが、陸曹になりたい隊員達は消灯延期申請を出し、深夜0時ぐらいまで自慢の筋肉を揺らしながら必死に勉強します。まるで大学受験みたいですね。

 

彼らは苦手なことに挑戦しているため、伸び率はあまり良くないですが、「向き不向きよりも前向き」の姿勢が大切です。「向き不向きよりもムキムキ」では筆記試験に受かりませんから。

 

 

ぱやぱやくん

防衛大学校卒の元陸上自衛官。退職後は会社員を経て、現在はエッセイストとして活躍中。名前の由来は、自衛隊時代に教官からよく言われた「お前らはいつもぱやぱやして!」という叱咤激励に由来する。著書に『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』『陸上自衛隊ますらお日記』(どちらもKADOKAWA)などがある。

 

本連載は、ぱやぱやくん氏の著書『陸上自衛隊ますらお日記』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

陸上自衛隊ますらお日記

陸上自衛隊ますらお日記

ぱやぱやくん

KADOKAWA

【SNSで話題沸騰中の元陸上自衛官・ぱやぱやくんが描く、愛とユーモアに溢れた自衛隊ライフがついに書籍化!】 「陸上自衛隊」と聞くとみなさんはどんなイメージがありますか? おそらくは戦車に乗っている姿、災害派遣…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録