(※画像はイメージです/PIXTA)

医学部入試の理科選択は、物理と生物のどちらを選ぶべきでしょうか。よく「医学部なら物理選択が有利」と言われますが、全員に物理がおすすめできる訳ではありません。有利だと思って選択した結果、結果的に足を引っ張ってしまうことも…。医学部医学科卒・綿谷もも氏の著書『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(監修:高梨裕介氏)より一部を抜粋し、それぞれのメリット・デメリットや「向いている人」など、科目選択のヒントを紹介します。

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物理と生物、どちらを選ぶべき?

医学部入試では、理科3科目(物理・生物・化学)のうち2科目を選択する方式が取られています(※一部の大学では、理科1科目で受験可能などの例外があります)。

 

ほとんどの方は化学を選択し、物理か生物の2択で迷われていると思いますので、物理と生物それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

 

医学部なら物理選択が有利と言われることは多いのですが、全員に物理がおすすめできる訳ではありません。

 

自分がどちらに適しているか吟味した上で、科目選択を行うのがよいでしょう。

物理選択のメリット・デメリット

結論からお伝えすると、物理はメリットもデメリットも大きい科目です。

 

<物理選択のメリット>

まずは、物理のメリットについて説明します。物理は、暗記量が少ない科目です。医学部受験は他科目の暗記量も多いことから、暗記量が少なく済むという点が大きな魅力です。

 

また、一度理解してしまえば問題の形が変わっても得点できることから、高得点を出しやすい科目でもあります。共通テストや中堅の私立医学部レベルであれば満点を狙うことが可能です。

 

<物理選択のデメリット>

「暗記量が少なく高得点を取りやすい」というメリットを聞くと、物理選択の方がいいのでは、と考える受験生は多いと思います。

 

もちろん、「物理受験にして正解」という受験生もたくさんいるのですが、むしろ物理を選択してしまったために、医学部合格が大きく遠のいてしまう受験生もいます。

 

物理の最大のデメリットとして、本質の理解と数学的な処理ができない限り、いくら勉強しても点数を取れない可能性がある、という性質があります。

 

物理の「暗記量が少ない」というメリットを裏返せば、「最も暗記が通用しない科目」です。

 

問題集を何周も繰り返し演習し、問題集に載っている問題はすらすらと解けるようになったとしても、丸暗記して解いてしまっているのなら意味がない、ということです。本質を理解していない場合、試験で少しひねった出題をされると1問目から手をつけられず、大量失点に繋がる恐れがあります。

 

さらに、物理は難易度が上がれば上がるほど数学的な要素が増してきます。平面幾何の処理能力や三角関数の知識、微分の知識も必要になってきます。

 

数理の処理能力も大切です。医学部入試では理科2教科セットで時間設定をされているところが多いのですが、物理の解くスピードが遅いともう1科目の足を引っ張ってしまうことになります。

 

物理のデメリットをふまえると、数学的思考が苦手、もしくは数学的な処理に苦手意識がある人は、物理を選ばない方が安全と言えるでしょう。

生物選択のメリット・デメリット

<生物選択のメリット>

生物選択のメリットは、勉強すれば着実に合格ラインに達することができる点です。

 

生物で得点できるようになるためには、一定以上の勉強時間は必要ですが、しっかりと対策しておけば点数は安定し、得点源にすることができます。

 

医学部の問題を分析すると、基礎事項を徹底的に暗記することで、生物の合格点は取れる大学が多いことがわかります。

 

応用的な考察問題の中には、読解力・記述力が問われる問題も一部含まれていますが、あくまでもベースは基礎事項の暗記です。そのため、たとえ読解力が必要な問題を解けなかったとしても、生物の合格者最低点を取れるケースがほとんどです。

 

暗記量は多いものの、勉強した分確実に得点できることは最大の利点と言えます。

 

<生物選択のデメリット>

次に、生物のデメリットですが、実は、生物選択には大きなデメリットはありません。

 

あえて挙げるとすれば、物理選択に比べて、高得点が取りにくいというデメリットがあります。しかし、医学部合格のために必要なのは高得点を狙いにいくことではなく合格点を確実に取ることなので、あまり気にしなくてよいでしょう。

 

ちなみに、最難関医学部では物理選択者が多いと言われていますが、これは生物選択者が不利になっている訳ではありません。

 

最難関医学部合格者には数学が得意な受験生が多く、数学が得意な人は物理を選択する傾向にあるためと考えられます。

「物理がおすすめな人」と「生物がおすすめな人」

おすすめの理科選択をまとめると、このようになります。

 

●数学が得意な受験生は迷わず物理

●数学に不安がある受験生は迷わず生物

●どちらとも言えない場合、安全策を取るなら生物

 

受験生が一番避けたいことは、「数学と物理がどちらも苦手」となってしまい、数学・物理・化学・英語の4教科のうち2教科も苦手科目を抱えることです。

 

物理が有利だと思って選択したのに、結果的に足を引っ張るようでは本末転倒です。客観的に自分の状況を分析した上で、適切な理科選択を行いましょう。

どれを選択するにせよ、「基礎の徹底」と「本質の理解」が大切

化学、物理、生物の勉強で共通して重要なのは基礎の徹底と本質の理解です。

 

まずは、基本的な問題集を使用し、基礎を固めましょう。掲載されている問題が全て理解でき、解説の通りに自力ですらすら解けるようになることが目標です。

 

基礎を徹底するために重要なことは、本質の理解です。理解が伴わないまま問題集の答えを丸暗記しただけでは試験問題を解くことはできませんし、教科書を隅から隅まで覚えようとしても点数に繋がりません。

 

問題集を使う時は、講義型の参考書を併用し、用語の定義・公式の成り立ちや使い方を理解した上で問題演習を行いましょう。

 

基本事項の理解ができたら、

 

「現象の仕組みを何も見ずに説明できるか」

「どうしてこのような現象が起こるのか」

「どうしてそれが大切なのか(=意義は何か)」

「類似事項との相違点・共通点は何か」

 

というように、様々な角度から理解を深めていくことも有効です。

 

本質の理解に基づいて暗記した知識は定着が深く、視点を変えた出題にも対応することができます。講義型参考書と問題集を併用し、本質の理解とアウトプットを重視して進めましょう。

 

 

【執筆】綿谷 もも

医学部医学科卒。数学が大の苦手で、高3の冬に受けた模試では偏差値39を取ってしまうほど。エースアカデミーで1年間浪人し、センター試験本番で90%以上を達成、関東の難関国立医学部、難関私立医学部に合格。

医学部入学後はエースアカデミーの医学生講師として6年間受験生を指導し300人以上の医学部合格に貢献。その経験をもとに、医学部在学中に書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』を執筆、出版。将来の夢は小児科医。アイドルと猫が好き。

 

【監修】高梨 裕介

医学部予備校エースアカデミー 塾長、医師

医師/大阪医科大学卒、初期研修修了後に創業。

中学受験経験(灘、東大寺、洛南、洛星中学に合格)。

自身の医学部受験の反省を活かし、350名以上の医学部合格者を指導。医学部合格のためのよりよい指導をより安く提供することを理念としてエースアカデミーを設立。

 

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※本連載は、綿谷もも著・高梨裕介監修の書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(幻冬舎ルネッサンス)より一部を抜粋し、記事化したものです。

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綿谷 もも(著)
高梨 裕介(監)

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