社長や役員、事業部長クラスの転職の舞台裏には、ドロドロとした人間模様が隠されています。転職に成功したとして、新たな職場で実績を挙げやすくするためには、どんな心構えや工夫が必要なのでしょうか。本稿では、東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏が、上級管理職クラスの転職によくみられる「怖いこと」と、それに対する準備について解説します。
社長・役員の転職の舞台裏…着任時「10人中7人が敵」は当たり前。新任エグゼクティブに求められる政治的手腕【転職のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

入社後、自分の実績を挙げやすくするための環境整備とは

一般的に人は自分の評価を7割増しで過大評価しがちです。自分の評価は甘くなり、他人の評価は辛くなります。

 

高位のポジションでヘッドハンティングされるのは素晴らしいことですが、ここから先のフィールドは、これまでのプレイヤーとしてのキャリアのとはまったく別次元であることを覚悟しなければなりません。

 

会社の規模が大きくなればなるほど、事象がシビアになることは言うまでもありません。あなたとの交渉でフロントに立ったカウンターパートの背後にいる役員があなたを値踏みしているのです。

 

転職したばかりの上級管理職は、「今日の敵を明日の友とする」振る舞いを心がけるべきでしょう。ただ当然、「今日の友が明日の敵になる」こともあります。ときには先方が出してきた評価を返上し、先手必勝、低い条件で相手の懐に飛び込むことで恩を売り、入社後に自分の実績を挙げやすくする環境整備をして反対派を封じ込めてしまうような政治的手腕も必要になります。

 

自分の職務範囲が決まっていて、それをこなすことで評価されるジュニアからミドルまでの転職と、自分で経営資源を調達し、それを使いこなすことで多くの実績を挙げる真のエグゼクティブの役割の違い。これはなかなか人が教えてくれることではなく、学べる機会は少ないと思います。

 

しかし社長や役員をめざす人にとってキャリアの中盤以降、自分の実務能力がプレイヤーとしての能力以上に必要となるところですから、事前知識を身につけておくことは非常に大切になります。エグゼクティブのキャリアには、実務能力に加え、政治的な手腕が問われているということを再認識しておきましょう。