(※写真はイメージです/PIXTA)

中国で働くビジネスパーソンは、「グループチャット」がなくてはならない存在となっています。ビジネス上、日本でも当然重要ではありますが、中国のそれは「チャイナ式コミュニケーション」といえるほど常軌を逸しています。では、具体的にどのような使われ方をしているのか、東洋証券の上海駐在員事務所に在籍する奥山要一郎所長が解説します。

上司に対する「承知しました!」で画面が埋まる

もうひとつの大きな特徴は、プライベートのみならず職場でのグルチャ立ち上げが普通に行われることだろう。

 

学生サークルのノリで簡単な情報交換や食事会のお知らせなどで済めば御の字だが、結局は業務連絡や指示・命令などが増えてくる。上司に対する「承知しました!」などの返しでチャット画面が埋まるのはお約束。

 

また、公私の垣根も越えてくる。深夜に業務命令があり、早朝に資料提出というブラックまがいのひどい組織も散見される。評価や昇進にも影響するため、チャット不参加はありえない。

 

日本で普通に見られる「仕事と私生活は別物」「業務時間外に上司や同僚と繋がっているのは耐えられない」との考えは中国ではまず通用しない。あぁ、キビシー。

便利なツールではあるが…“ネットリテラシー”には要注意

ご存じのように、中国ビジネスは「グワンシー(関係)」という人的ネットワークが重要視される。微信やグルチャは「現代版グワンシー」構築の格好のツールと言えよう。いわゆる「圏(サークル)」に入り込んでいかないと何も情報を得られない。

 

そのクローズドな空間で敏感な企業情報を漏らす内部関係者も時々いる。会話のスクリーンショットなどでその事実が明るみになれば(チクられれば)、不適切な情報開示として当局や企業、投資家から非難や警告を受けることもある。当然ながら要注意。

 

とは言え、便利なツールであることに変わりはない。昨年の上海ロックダウン。マンション住人のグルチャが自然発生的に立ち上がり、コロナ関連情報、PCR検査の時間、生活物資の共同購入のお知らせなどが飛び交った。

 

近所付き合いは何かと面倒だが、チャット上だとそのハードルは低くなる。協力心や団結感も俄然強まった。忌々しい出来事ばかりのなか、チャットが数少ない拠り所だったのも事実だ。

 

とはいえ、ゼロコロナ政策が終了した今、このグルチャが封鎖生活のサバイバルツールとして再び動き出すことはないだろう。たぶん......。

 

 

奥山 要一郎

東洋証券株式会社

上海駐在員事務所 所長

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

【免責事項等】
※本記事は、東洋証券株式会社の中国株コラムから転載したものです。
この資料は、東洋証券株式会社が信頼できると思われる各種のデータに基づき投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成したもので、投資勧誘を目的としたものではありません。また、この資料に記載された情報の正確性および完全性を保証するものでもありません。また、将来の運用成果等を保証するものでもありません。この資料に記載された意見や予測は、資料作成時点のものであり、予告なしに変更することがありますのでご注意ください。
この資料に基づき投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、東洋証券株式会社は、理由の如何を問わず、一切責任を負いません。株価の変動や、発行会社の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがありますので、投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなされるようお願い致します。
この資料の著作権は東洋証券株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願い致します。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録