「日経平均株価が下落」した先週、「円高」となった納得の理由【国際金融アナリストが解説】

7月11日~17日の「FX投資戦略ポイント」

「日経平均株価が下落」した先週、「円高」となった納得の理由【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

足元の米ドル/円は、先週までの円安相場が一転、円高方向への圧力が強まりました。この原因について、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は「日経平均株価の下落」を指摘します。足元の相場でみられる「米ドル/円」と「日経平均株価」の密接な関係性と、今後の米ドル/円の動きについて、詳しくみていきましょう。

今週の注目点…引き続き株価とクロス円に注目

それにしても、なぜ先週株価下落が広がるところとなったのか。きっかけは、すでに見てきたように、7月FOMCでの利上げ再開の可能性が高まるなかで米金利の上昇が広がったことから、それを嫌気したということでしょう。

 

そもそも、日経平均で見ても5~6月と大幅高となったことで、さすがに短期的には「上がり過ぎ」懸念が強くなっていました(図表5参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]日経平均の90日MAかい離率(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

こういったなかで、米金利上昇の拡大は、「上がり過ぎ」修正の格好のきっかけになった可能性がありました。では、株高はすでに終わり、株安が一段と拡大に向かうかと言えば、それは違うのではないでしょうか。

 

日経平均の5年MA(移動平均線)かい離率を見ると、日本株バブルと呼ばれた1989年代後半や、信用バブルと呼ばれた2007年にかけて、またはアベノミクスの株高ピークとなった2015年前後は、同かい離率は40%を大きく上回る拡大となりましたが、それらに比べると今回はまだ「バブル」というほどではなさそうです(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表6]日経平均の5年MAかい離率(1980年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

以上のように見ると、株価は短期的な「上がり過ぎ」修正が一段落した後は、上昇が再開する可能性があるのではないでしょうか。

 

今週は、12日の米CPI(消費者物価指数)発表を皮切りに、週後半は注目の米インフレ指標発表が続く予定となっています。

 

金利市場では、すでに先週までの段階で、7月FOMCでの0.25%の利上げをほぼ織り込んだ形となっていますので、これらインフレ指標の結果も影響は限られる可能性はありそうです。

 

ただし、まだ短期的な「上がり過ぎ」修正の途上にあると見られる株価だけに、インフレ指標の結果を受けてさらにリスクオフ拡大となるかは、引き続き予断を許せないでしょう。

 

クロス円…「対メキシコペソ」でみる円の動き

5~6月に世界的に株高が広がるなかで、為替相場では米ドル/円以上にクロス円の上昇が目立ちました。これは、リスクオンにおいては円と米ドルが「キャリー通貨」として売られやすく、円と米ドルの同時安となる結果、円に対して米ドル以外の外貨が大きく上昇するためです。

 

こういったなかで、一部のクロス円にはメキシコペソ/円などさすがに「上がり過ぎ」懸念が目立ってきました(図表7参照)。こういった通貨ペアは、リスクオフなどをきっかけに「上がり過ぎ」の反動が広がるリスクに要注意でしょう。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表7]メキシコペソ/円の90日MAかい離率(2010年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

また、メキシコペソ/円は5年MAかい離率を見ると、中長期的にも「上がり過ぎ」懸念が極めて強い状況が続いていると見られています。

 

そのため、短期的な「上がり過ぎ」の修正で始まった下落により、後から振り返ったらそれは上昇トレンドが終わり、下落トレンドの始まりだったとなる可能性もあります(図表8参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表8]メキシコペソ/円の5年MAかい離率(2006年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

先週金曜日の米ドル安・円高を受けて、テクニカルにはさらに米ドル下値を模索しやすい状況となりました。一方で、先週株価が大きく下落した反動で、株高に戻す可能性もあるでしょう。

 

米ドル/円はそんな株価の動向などをにらみながら、140~145円中心で上下に振れやすい展開を予想したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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