7月11日~17日「FX投資戦略」のポイント
〈ポイント〉
・先週の米ドル/円は金曜日に急落した。米金利は上昇傾向だったが、リスクオフが円買い戻しをもたらした影響が大きかった模様。
・今週はCPIなど米インフレ指標発表が続く予定。
・米ドル/円はテクニカルには米ドル下値模索が続きそう。一方引き続き株価の動向に注目しながら、140~145円中心で上下に振れやすい展開を予想。
先週の振り返り…「米ドル急落」の理由
先週の米ドル/円は、144円台中心の小動きが続きましたが、金曜日にその小動きのレンジを下抜けると、保合い放れの教科書通りに、そのまま142円割れ寸前まで一段安となりました(図表1参照)。
ところで、この金曜日には注目の米雇用統計が発表され、結果は強弱マチマチなものでした。この雇用統計以外でも、先週発表された米経済指標はおおむね予想より強い結果が多く、雇用統計の結果も受けて、7月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ再開はほぼ確定との見方となりました。
この結果、先週前半を通じ、米金利は上昇傾向が続いたため、上述のような金曜日の米ドル急落は、米金利からかい離の目立つものでした(図表2参照)。
この米ドル/円の急落を比較的うまく説明できそうだったのは、株価の下落でした(図表3参照)。このところ大きく上昇してきた日経平均などの株価でしたが、7月に入り最初の営業日となった先週月曜日に上昇一巡となると、その後は続落となりました。このような株安の動きが、米金利や金利差からかい離した米ドル安・円高に影響した可能性はあるでしょう。
株価のなかでも、日経平均など日本株は、4月末頃からそれまで長く続いたレンジの上限を突破すると、5月以降は一段高となりました。このような日本株一段高のリード役の一角は、海外の投資家です。
そんな海外の投資家からすると、日本株を購入する上で、為替相場で円相場が下落することに伴う為替損失を回避(ヘッジ)するために円売り取引を並行して展開した可能性がありました。
実際、海外投資家の代表的な存在であるヘッジファンドの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、5月に入ってから売り越しが急増しました(図表4参照)。これは、まさに海外投資家の日本株投資に伴う為替リスク・ヘッジの円売りの影響が一因だった可能性があったでしょう。
以上のような「日本株買い・円売り」といった組み合わせを前提にすると、先週日本株の下落が広がるなかで円の買い戻しが発生した可能性があります。
以上のような動きから、先週金曜日、それまでの小動きを米ドル下放れたことも後押しする形で、米金利や金利差からかい離した米ドル安・円高が広がったということではないでしょうか。