メンテナンスの費用
100年間のメンテナンスの費用はどのぐらいかかるのでしょうか? 「金属サイディング」や「樹脂サイディング」等のなるべく長持ちする建材を、特に建物の外壁材として使うとすると、寿命の短い外壁材に比べて、15年は確実に長持ちします。
【長持ちする外壁材の例】
・金属サイディング:ガルバリウム鋼板で耐久性は30年以上
・樹脂サイディング:塩ビ製でリサイクルが可能。30年間ノーメンテ
・ALC:発砲モルタルのボードで、適切なメンテナンスで50年以上耐用。10~15年ごとに塗り替えが必要
・タイル:陶磁器製でほとんど放置で耐用年数40年。10~15年ごとに剥落検査・修理が必要
以下、100年間のメンテナンスコストを算出した数字をお伝えします。
◆1. 屋根
一番費用がかかるのが屋根です。屋根は、当然ですが張り替えが必要になりますが、建築後30年までは塗り替え程度でもたせることができます。ですから、100年であれば1〜2回は張り替えが必要だと思います。そのための費用は、現在の価格でおよそ200万円かかります。
塗り替えは、極力必要のないものを選ぶべきですが、次に述べる外壁と同時に考えます。屋根単体の工事は不経済です。足場をかけての工事になるので屋根と外壁を同時に考えましょう。
◆2. 外壁
外壁は、30年程度で一度は張り替え工事が必要です。100年とすると3回の工事が必要になります。1回の張り替えには200~250万円ほどの費用が必要です。また、塗装に関してですが、外壁材に30年はノーメンテで使える材料を選べば、途中の塗り替え工事は必要ありません。
それに対して、メンテナンスが必要な材料だと、10〜15年に1回は塗り替えが必要になりますし、足場の費用を入れて150万円前後の費用がかかります。
◆3. 内装
内装は住宅設備(キッチン、お風呂、洗面台、トイレ)とドア関連、フロアー、壁天井などがあげられます。住宅設備は、100年で3回の交換が必要でしょう。4つセットで100~150万円かかります。
ドア関係は再塗装で長く使える物を選んでいます。壁、床、天井も三度の交換で十分ですから200万円前後の予算を見てください。
◆4. その他
照明などの電気機器、給湯器、エアコンなどの空調機器は15年程度で交換する必要があります。100年ですから、6回程度の交換が発生すると考えてください。電気機器の交換費用だけは、35年、40年ローンの支払っている最中であっても、絶対に必要になります。そのための貯蓄は必ずしておいてください。
照明機器は、壊れたものを修理、交換しつつある程度で一斉交換をおすすめします。給湯器もエアコンも交換に2週間程度かかる場合もありますので、早めの対応をおすすめします。設置後13~18年ですべて交換するように計画を立てていただければと思います。
[図表2]はメンテナンスの頻度と費用、[図表3]はそれぞれの項目を建築後プランニングするための年表です。いつ頃何を計画するかこれをもとに考えてみてください。
飯村 真樹
株式会社ファーストステージ代表取締役
一級建築士