日本の平均年収は443万円(国税庁:民間給与実態調査)、平均世帯年収は514万円(総務省:家計調査)です。そのようななか「世帯年収1,000万円」と聞くと、余裕のある生活を想像する人も少なくないでしょう。しかし、『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書)の著者でジャーナリストの小林美希氏が該当世帯に取材を行ったところ、世帯年収1,000万円の“シビアな実態”が明らかになりました。詳しくみていきましょう。
世帯年収1,000万円だが…35歳女性「すごくイラっとくる」「なんで私ばかり」怒涛の恨み節にみえた“就職氷河期の大弊害”【取材】 (※写真はイメージです/PIXTA)

同僚の女性の「プチ家出」がうらやましい

こんなに余裕ない生活をしていると、なんで子どもを預けて仕事しているんだろうと、ふと思うことがあります。子どものいる女性がなぜ働きにくいのでしょうね。シングルインカムで生活できない社会だからですよね。

 

1日12時間近く、子どもは保育園で他人と過ごす。子どもが起きている間に顔を合わせるのは1日3~4時間くらい。その数時間は、ご飯、風呂、次の日の支度で終わってしまう。「早寝早起き朝ごはん」って、分かるけど、そう言われても困りますよ。無理です。

 

子育て中の同僚の女性がうらやましいんです。彼女は育児や家事に疲れるとプチ家出するそうで。息子くんが小さい頃から、子育てや家事に疲れると、ビジネスホテルに泊まりに行っちゃうんですよ。彼女が家出すると、息子くんは「この世の終わり」という顔をするらしいです。でも、「ちょっと、もうダメ。サヨナラ」と言って彼女は家を出るんですって。ああ、私もお金があったらな……私もそうしたいです。うちの家計を考えたら、無理です。

 

新幹線に乗りたい。地元でない空が見たい。そう思うんですが、今は、自宅から3~4キロ離れたところに行っただけで「ああー、出かけた」と思ってしまうんです。

 

思い返せば、娘を産んだ産婦人科病院を退院する前日、どうやら娘は生後4日目にして、私をママだと分かり、私が少しでもいなくなるようなら、それを察知するようになってしまったようです。娘はパパがいても、おばあちゃんがいてもダメ。ママ以外は人にあらずという感じで。乳幼児に慣れている私の母が抱っこしてもダメでした。

 

少しでも私から離れると、ずっとギャンギャンと泣き続け、私が抱っこした瞬間に泣き止むんです。なんで私ばかり大変になるの? そう思うと、うんざりしてしまうんです。

 

この時、私は気づいていなかったけど「産後鬱」だったんです。私は、少年団とかボーイスカウト、ガールスカウトも好きで、ボランティア活動も大好き。子どもと接することが好きだったはずなのにと思うと、自分の子のことで鬱になるなんてショックでした。