都内で生まれ育った35歳の米田さん。2人の子どもに恵まれ、実家近くに持ち家を所有。世帯年収は1,000万円です。一見すると恵まれた環境に身を置く米田さんですが、本人は「生活は大変」「この国に期待できることはない」と嘆きます。いったいなぜなのでしょうか。『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書)の著者でジャーナリストの小林美希氏が取材しました。みていきましょう。
年収348万円、世帯年収1,000万円の35歳女性が「クーラーもつけない生活」で日本に絶望する理由【ジャーナリストの実録】 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅費に年金、消費税の使い道…日本は“納得できないこと”が多すぎる?

「私は下のほうで生きている」コンビニは行かず、クーラーもつけない生活
※取材対象──東京都・米田美鈴(35歳)・自治体職員・年収348万円(世帯年収1,000万円)

 

一軒家を買ったローンは夫の名義の借金です。夫の収入だけだと赤字になるけれど、私の給料はできるだけ貯蓄に回しています。何かあったときのため、そして、子どもの学費のため。

 

田舎なら3,000万円あれば広い庭のある家が買えるのに、東京の家ってなんでこんなに高いんだろう。窓を開けたらすぐ隣の家の壁が見えるのに、5,000万円もする。35年、マックスでローンを組んで。しかも、生活が楽なわけでないです。

 

老後に必要な資金は2,000万円と報道されて炎上して、すぐ言われなくなったけど、年金って本当にどうなるのか気になって仕方がないです。

 

日々、消費税を払っているけど、100円の物を買って払った消費税の8円とか10円って、何にどう使われているのか、いまいちよく分からないですよね。っていうか、こんなに分からないことだらけでいいんですか?

 

コロナ禍のばら撒き「10万円の給付金」はラッキーだったのか?

新型コロナウイルスが感染拡大した2020年、国から「特別定額給付金」が一人10万円配られましたよね。一瞬ラッキー、って思いました。

 

でも、冷静に考えたら、なんだ、それって。このお金を受け取るべき家庭って、うちじゃない。家もあって、水道も出て、電気もつく生活ができている。シングルマザーでもっと困っているとか、世帯年収が400万円くらいで大変とか。そういう家庭に限定すべきだって思い直したんです。

 

この10万円、20万円があったら、どんなに助かるかという人が他にいるのに。ばら撒きのために国債を発行して借金が膨らんで、巡り巡って私たちの負担になってやってくる。