日本の平均年収は443万円(国税庁:民間給与実態調査)、平均世帯年収は514万円(総務省:家計調査)です。そのようななか「世帯年収1,000万円」と聞くと、余裕のある生活を想像する人も少なくないでしょう。しかし、『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書)の著者でジャーナリストの小林美希氏が該当世帯に取材を行ったところ、世帯年収1,000万円の“シビアな実態”が明らかになりました。詳しくみていきましょう。
世帯年収1,000万円だが…35歳女性「すごくイラっとくる」「なんで私ばかり」怒涛の恨み節にみえた“就職氷河期の大弊害”【取材】 (※写真はイメージです/PIXTA)

妊娠すると仕事が続けられない…「就職氷河期」「非正規」の弊害

そもそも、社会人としてのスタートが就職氷河期だったことが、私のその後の人生に大きな影響があったのではないかと思うんです。

 

小さい頃からアウトドア派で、仲間うちでは、姉御肌と言われていたのに、産後鬱になったのは、仕事を諦めたからじゃないかって。私は、いろんな矛盾を感じ続けているんです。

 

大学を卒業してから、子どもに関する仕事や社会問題を扱う仕事がしたくて自治体の非正規の職員になりました。月収は手取り17万円だったので、それでは自立できないから、実家に住み続けました。

 

サービス残業が多くて、土日もない状態で。非正規で働いていた20代の頃、同じように非正規で働いていた女性の先輩が妊娠すると、私の職場では非正規の職員に育児休業がないことを知って愕然としました。

 

先輩は早産しかかって絶対安静が必要になって、そのまま辞めていったんです。長く付き合っていた彼がいた私は、「ああ、私が結婚して妊娠しても、仕事は続けられないんだな」と確信しました。その確信が絶望に変わったとき、彼の転勤、私たちの結婚が決まって、27歳で“寿退社”したのです。

 

 

小林 美希

ジャーナリスト