国税庁の民間給与実態統計調査によると、2021年の給与所得者の平均年収は443万円でした。「年収440万円あれば普通に暮らせる」という声もありますが、現実は違うと『年収443万円』(講談社現代新書)著者でジャーナリストの小林美希氏はいいます。年収450万円・電車運転士(33歳)への取材から、平均年収の生活の実態をみていきましょう。
弁当持参で“1本30円”の水を飲み…休日返上して手取り25万円の33歳・電車運転士「これ以上なにを削ればいいのか」【ジャーナリストの実録】 (※写真はイメージです/PIXTA)

削れるものは削る…「au」から「UQモバイル」に乗り換え

不妊治療に対する経済的不安……「リーマン氷河期世代」の憂鬱

──北陸地方・吉川耕太(33歳)・電車運転士・年収450万円(世帯年収900万円)

 

結婚して、より一層、倹約しています。削れるものは削ろうと。最近は物価も高くなっているし、コロナで電車通勤する人が減って、本当にうちの会社は大丈夫なのかと心配ですから。

 

スマホの料金が高いので、「au」から「UQモバイル」に変えました。そうすると、auの時に月7,000円だったものが、UQなら月1,600円から1,700円で済みますからね。大きいですよ。通信は3ギガで低速ですが、ユーチューブを見るくらいなら大丈夫だし。

 

会社に持っていく弁当は自分で作ります。お茶も買わなくなりました。水筒を持っていったほうが断然安く済みますから。コンビニじゃあ絶対に飲み物は買わないですよ。買うなら「コストコ」で1本30円の安い水ですかねぇ。

 

食品が高いですよね。いやぁ、「業務用スーパー」だって、今まで100円だった野菜が120円になり、180円になり……。コストコも値上がりしています。なにもかもが高くなっている。

 

でも、給与が上がるわけではない。今年のベースアップは年でたった2,500円ですよ。いろんな物が値上がりして、胃がキリキリする思いです。まだ子どもがいないからなんとかなるけれど、子どもがいたら、何を削ればいいのか……。

「月16万円の生活費」を妻と折半

アパートの家賃は2DKに駐車場がついて7万6,000円、食費や光熱費、車の維持費、電話料金などを合わせると約16万円かかるので、それをだいたい妻と折半しています。

 

自分の手取り25万円から8万円を生活費に出して、残りは自分の小遣い。小遣いといっても、無駄なお金はほとんど使いません。新車を買うために毎月5万~7万円ほど貯金しています。ボーナスは使わず、300万円の貯金があります。

 

僕の会社は大きくはないので、運転士が多いわけではありません。誰かが年次有給休暇をとると、本来休んでいるはずの運転士が休日返上して出勤することになります。僕は率先してこの「休日残業」をするので月6万円がつきます。これが大きい。逆に言えば、自分の休みを削らないと6万円プラスにならない。これがないと手取り20万円を切ってしまう。

 

僕みたいに有給休暇を使わず働くこともある。仕事はハードではないのですが、家庭があるとつらいですよね。妻とすれ違いの生活になるので、週によってはまったく会えないこともある。もし宝くじで10億円でも当たったら、会社を辞めますよー。