(※写真はイメージです/PIXTA)

父が逝去し、トラブルのもととなったのは、生前の父が集めていた骨董品と、先々に母しか入る予定のないお墓の今後。母と娘2人の意見が大きく食い違ってしまい、調停申し立てをすることに……。本記事では、実務に精通した弁護士陣による著書『依頼者の争族を防ぐための ケーススタディ遺言・相続の法律実務』(ぎょうせい)より、墓じまいと骨董品の形見分けにおける円滑な対処法を解説します。

3.形見分け

動産類も被相続人の遺産として遺産分割の対象になります。ただし、対象とするためにはまずは特定が必要とされます。今回のような皿・壺のほか、貴金属・絵画・書画・着物等の特定はそもそも難しい場合が多いのと、保管者がこれに協力しない場合には特定ができないことも多いでしょう。

 

また、価値があるものは遺産分割の対象になりますが、この価値についても、客観的に評価額が明らかになり、当事者全員が評価額を合意すれば遺産分割が可能な場合がありますが、評価額に争いがある場合にこれを評価する方法も問題になります。

 

遺産分割調停・審判においては、動産については、特定ができない場合・客観的価値がないもの・評価額が明らかにならないもの等は、遺産分割の対象財産から外され、形見分けとして当事者が適宜に分けるのが相当として、形見分けを勧められることになります。

 

ただし、調停においては、形見分けに関する次のような条項をもって、形見分けの実施を合意することができますので、調停の中で、形見分けの段取りや内容を一定程度(本来の遺産分割協議に支障が生じない程度)協議し、これがうまく実施できるよう進めることは有効な場合があります。

 

【形見分けを行う条項例】

被相続人の遺産のうち動産類については、申立人と相手方が立会いの下形見分けを行うものとし、その日時については当事者間で別途協議して定める。

 

 

東京弁護士会弁護士業務改革委員会

遺言相続法律支援プロジェクトチーム

 

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※本連載は、東京弁護士会弁護士業務改革委員会 遺言相続法律支援プロジェクトチーム編集の、『依頼者の争族を防ぐための ケーススタディ遺言・相続の法律実務』(ぎょうせい)より一部を抜粋し、再編集したものです。

依頼者の争族を防ぐための ケーススタディ遺言・相続の法律実務

依頼者の争族を防ぐための ケーススタディ遺言・相続の法律実務

ぎょうせい

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