「ふるさと納税」節税のつもりが「税負担増」に!? “総務省の告示”で露わになった「深刻な問題」とは【税理士が解説】

「ふるさと納税」節税のつもりが「税負担増」に!? “総務省の告示”で露わになった「深刻な問題」とは【税理士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年6月27日、総務省は「ふるさと納税」制度について、募集経費の割合や、返礼品として認める「地場産品」の基準を厳格化する旨の告示を出しました。ふるさと納税については、自治体が負担する経費率の高騰や、加熱する返礼品競争等の問題が指摘されています。それらがどのような事態を招くのか、現行制度が内包する問題点について、税理士の黒瀧泰介氏が解説します。

ふるさと納税とは

◆ふるさと納税は何が「お得」なのか

まず、納税者からみたふるさと納税の「メリット」についておさらいします。

 

ふるさと納税は、任意の自治体に対して「寄付」を行ったら、税金から「寄付額-2,000円」の額が差し引かれて戻ってくるしくみです(「税額控除」または「還付」)。

 

多くの場合、寄付先の自治体から「返礼品」を送ってくれるので、「2,000円」と引き換えに「返礼品」が手に入ることになります。

 

返礼品は、一般に、寄付額が大きいほど市場価値が高いものが用意されています。しかし、ふるさと納税をすると「寄付額-2,000円」が返ってくるので、理屈の上では、どのような高額な商品でも、実質的に2,000円で手に入れられることになります。

 

つまり、納税者からみれば、返礼品の市場価格が大きいほど得をするということになります。

 

多くの人がそれを目当てにふるさと納税を利用するようになっており、利用者は年々、増加の一途をたどっています。

 

◆「確定申告」と「ワンストップ特例」

「寄付額-2,000円」が返ってくる手続きは2通りあります。「確定申告」と「ワンストップ特例」です。

 

このうち「ワンストップ特例」は2015年から始まった、当該年度にふるさと納税以外の「控除」等の制度を利用しない人が利用できる簡易な方法です。

 

寄付先の自治体に申請書を送付すれば、あとは、寄付先の自治体から居住自治体へ連絡し、翌年度分の住民税からの税額控除が行われるというものです。なお、申請書の郵送料や関連事務のコストは寄付先の自治体が負担します。

 

「確定申告」と「ワンストップ特例」とでは、手続きが異なるだけでなく、返ってくる「税金」の出所も異なります。両者の違いは以下の通りです。

 

【通常の確定申告】

・所得税:「(寄付額-2,000円)×所得税率」の額が返ってくる(還付)

・住民税:翌年支払う居住自治体の住民税の額から「寄付額-2,000円-所得税の還付額(上記の通り)」が控除される(税額控除)

 

【ワンストップ特例】

・所得税:(控除なし)

・住民税:翌年の住民税の額から「寄付額-2,000円」が差し引かれる(税額控除)

 

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