子どもの頃から周囲より飛び抜けて高い知性や能力を持つ「ギフテッド」をご存知でしょうか? その能力の高さゆえに周囲から浮いてしまったり、学習面で物足りなさを感じたりすることがあると言われています。これまで日本ではギフテッドに対する特別な支援が行われてきませんでしたが、2022年4月に初めてギフテッドの子どもに対する学校指導や支援のあり方を話し合う有識者会議が設けられました。これによってギフテッドへの注目度も高まりつつあります。そこで今回は精神科医しょう先生にギフテッドの子どもについて特徴や接し方など幅広くお話を伺いました。
ギフテッドとは?特徴や種類・判断基準・支援、発達障害との違い【精神科医解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

 

ギフテッドの子への接し方3つのポイント

ギフテッドと言ってもお子さんによってそれぞれ特性も異なります。その子が何が必要なのかをしっかりと見極めて個別に判断しながら接することが何より大切です。

 

①知的好奇心を満たしてあげる

ギフテッドの子は好奇心の強いタイプが多いので、興味を持ったことに対していろいろな学習材料を与えてあげましょう。その際「子どもだからこのくらいでいいだろう」とは考えずに、よりハイレベルのトピックに触れさせてあげて、知的好奇心を満たしてあげられるといいですね。

 

②より高いレベルに挑戦させる

高い能力を持っているため簡単な課題に退屈しがちなので、適切な難易度を設定することもポイントです。次々と難易度を上げてより高いレベルに挑戦させることで、能力をさらに伸ばしてあげましょう。

 

③困っている部分をサポートする

特に2E型のタイプは社会的スキルにおいて困りごとを抱えている場合もあります。友達作りやチームワークなどのコミュニケーション面やメンタルヘルス面の支援が受けられる環境づくりをしてあげてください。

 

日本のギフテッド支援について

ギフテッド支援と教育環境への課題

残念ながら日本ではギフテッドへの認識も支援もまだまだ足りていない状態です。高い能力を持ちながらも社会で見過ごされてしまって、適切な支援を受けられずに生活の困難に直面している子も多いと思います。この認識されていないということが、ギフテッドが困りごとを抱える一因でもあります。

 

私が聞いた話によれば、イギリスではギフテッドを含むクラスに馴染めない子に対しクラスの先生の他に専門のサポーターがついて得意を伸ばす学習環境が整っているそうです。

 

日本の小学校の場合は、20、30人程度のクラスで平均的なIQを持つ子に向けて一律の授業をするのが一般的。この環境ではギフテッドの子は退屈してしまうでしょうし、その能力もなかなか活かせません。

 

日本でも支援への話し合いがスタート

そのようななか、2022年に有識者による話し合いの場が持たれました。あくまで議論のキックオフかもしれませんが、ギフテッドではないかと気づいても相談場所がなかったり、対処方法が分からなかった方々にとっても明るいニュースだと思います。

 

具体的な支援についてはこれから話が進んでいくものと思われますが、ギフテッドのお子さんやその親御さんにとって最適な支援体制が整っていくことを願います。

 

味方であることを伝えてあげて

ギフテッドであっても、発達障害であっても、お子さんが困難を感じる場面は必ずあると思います。その時に親御さんや周囲の人たちが共感や理解を示してあげて「私たちがついているよ」と味方であることを伝えてあげてください。それによってお子さんが安心感を得られたり、自己肯定感を伸ばすことで、困難へ立ち向かう力につながると思います。

 

まずはゆっくりと時間をかけてお子さんを観察し、必要に応じて専門家に相談しながら、お子さんが安心して自分のペースで成長できるようサポートしていってあげられるといいですね。

 

【話を伺ったのは】

精神科医しょう/精神科医

大学病院や精神科クリニックなどで研究や診療を行いながら、大学講師や産業医を務めた経験も持つ。現在は大学病院で精神科医として勤務しながら、インスタグラムやメルマガ、音声配信などで情報発信にも力を入れている。

ブログ:https://drshrinksho.com/