「認知症による行方不明者」過去最多1万8,709人…「家族が認知症」の人に知ってほしい、利用率“わずか2.2%”の「休業とお金の制度」

「認知症による行方不明者」過去最多1万8,709人…「家族が認知症」の人に知ってほしい、利用率“わずか2.2%”の「休業とお金の制度」
(※画像はイメージです/PIXTA)

警察庁が2023年6月22日に公表した資料において、2022年の「認知症による行方不明者」が1万8,709人と過去最高だったことがわかりました。背景として、認知症を患う人が増加しているのに加え、認知症の家族をもつ人の負担が重くなっていることが推察されます。日本には介護と仕事を両立する「休業とお金」の制度がありますが、利用率が著しく低いという実態があります。本記事ではそれらの制度について解説します。

介護休暇(無給の場合あり)

次に、「介護休暇」です。

 

介護休暇は、年次有給休暇と別枠で法律上認められたものであり、家族1人につき年間最大5日間、取得できます。また、非正規雇用の労働者にも認められます。ただし、以下の労働者は取得できません。

 

【介護休暇を取得できない労働者の条件】

・入社6ヵ月未満

・1週間の所定労働日数が2日以下

 

介護休業との違いは、介護休業が長期にわたるものを想定しているのに対し、介護休暇は、短期・短時間の取得を前提としていることにあります。

 

たとえば、家族の通院等の付き添いや、介護サービスの手続の代行、ケアマネジャーとの短時間の打ち合わせといったことに活用することが想定されています。

 

また、介護休業と異なり、必ずしも「給付」が伴いません。給与を受け取れるかどうかは勤務先の定めによります。したがって、無給の場合は、現実的にみて、有給休暇を先に消化することで対応せざるをえないことが想定されます。

利用の普及とさらなる制度の拡充が急務

前述のように、介護休業と介護休業給付金、および介護休暇の制度は、現状、そもそもあまり利用されていません。

 

今後、高齢者が増えていくにしたがい、認知症をはじめとして介護を必要とする人の家族が、仕事と介護を無理なく両立できる環境の整備はきわめて重要です。そのために、これらの制度の普及が急務となっています。

 

また、たとえば、介護休業の日数・回数が現状のままでよいのかという問題や、介護休暇が必ずしも有給ではないという問題など、そもそも、制度の中身にも課題があります。より利用しやすいものにするため、拡充していくことが求められています。

 

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