都内で生まれ育った35歳の米田さんは、自治体職員として週4日働き、年収は348万円です。夫の収入と合わせると世帯年収は1,000万円ほどあり、これは日本の上位12.7%にあたります(厚生労働省:国民生活基礎調査の概況)。しかし本人は「私は下のほうで生きている」と嘆きます。『年収443万円』(講談社現代新書)著者でジャーナリストの小林美希氏が、米田さんへの取材からわかった「日本の世帯年収1,000万円」の実態を解説します。
世帯年収1,000万円の35歳・女性「スタバは分不相応」…“税込み705円”に手が出ない「日本の上位12%」のリアル【ジャーナリストが取材】 (※写真はイメージです/PIXTA)

姉一家はモンベル、妹一家は中古服…高収入の姉とは“ギアが違う”

3歳年上の姉は、新卒採用で就職した広告代理店で働いています。義理の兄はマーケティング関係の仕事をしていて、夫婦で正社員、高収入のようです。姉夫婦を見ていると、なんだかうちとは“ギア”が1つ上の暮らしぶりだと痛感します。

 

私も姉もアウトドア派で、小さい頃からキャンプ好きなんです。お互いの子どもを連れて一緒にキャンプに出かけるのですが、うちと姉家族はまるで違うんです。うちは原始的な時間を求めて、火起こしひとつとっても、自然の木や竹にドリルで穴を開けて、汚いかっこうで試行錯誤するのが楽しいんです。

 

姉の家族は当然「モンベル」とかのブランドもののウェアで決めてくる。モンベル、高いですよ。ダウンジャケットが2万~3万円もするんですから。汚せないですよ。姉の家は、テントもテーブルも高級志向。なんか、優雅なアウトドアなんです。家においている椅子だって、うちは「オリンピック」に行って買うけど、姉は家族4人、子どもの分までブランドものの椅子で揃えるくらいで。

 

実家に集まって皆で食事をしようというときも、うちは「オーケー」で安いピザを買っていくけど、姉は「ウーバーイーツ」で高そうなものを平気で注文します。

 

会がお開きになって帰る時、姉の家族はタクシーを呼ぶんです。うちは、当たり前のようにバスで帰る。姉のような感じが、不自由のない暮らしができる「中流家庭」というものなのでしょうか。いったい姉はいくら稼いでいるのか。知りたいところですが、聞いたことがないです。姉妹だけど、そこが、なかなか聞けないですね。

 

 

小林 美希

ジャーナリスト