アジア最大級のヘッジファンド運用会社として知られるGOTEX(ゴテックス)。同社がアジア拠点を置くのは香港だが、なぜ香港なのか、そしてアジアのヘッジファンドの特徴などをマネージング・ダイレクターのマックス・ゴットシャルク氏に語っていただいた。聞き手は、日系資本の香港現地銀行として5月に開業したニッポン・ウェルス・バンク(NWB)の中島努CEOである。

香港とシンガポールの最大の違いとは?

中島 私の理解ではヘッジファンド業界において、香港はアジア地域のハブとなっています。プライム・ブローカレッジサービス一つ取っても、東京より香港のほうが規模が大きいことで知られています。東京やシンガポールに先んじて、香港が躍進している理由をどのようにお考えですか。

 

 

マックス ビジネスの中心地を選ぶ際には、まず、財政、法制度を見なければなりませんよね。香港は、資産運用の拠点として知られているシンガポールと同様、税率が低く、法制度面での透明性の高い地域です。香港とシンガポールの最大の違いは、香港があらゆる面で中国に近いという点です。

 

多くの投資家が、今、中国にアクセスしたがっています。香港、上海、北京、深圳のそれぞれを、独立した地域として捉えたときに、香港は、最も国際色豊かです。というのは、上海や北京、深圳の財政、法制度が今でもまだ中国国内法に支配されており、改革途中であるのに対して、香港には、イギリス統治時代に培われたしっかりとした法的インフラが残っているので、中国にアクセスするのに有利な条件が整っているといえます。

 

また、おそらく2、3年以内に、中国は国内の資本規制を緩めるでしょう。それにより、多くの中国内外の資本が、香港を経由して流れていくものと思われます。まさに、絶好のビジネスチャンスだといえます。

 

グローバル投資家が運用する株式ポートフォリオに中国株が占める割合はせいぜい5%と相対的に少ないですが、資本市場の規模で見たとき、中国は世界で二番目に大きい株式市場を持っています。運用拠点としては徐々に上海も台頭してきていますが、現状は香港の方が総合面で中国本土へ投資する足掛かりが整っていると言えるでしょう。

中国→外国、外国→中国への資本はいずれも香港経由

中島 香港は、中国本土へのゲートウエイということですね。

 

マックス 基本的に、資本の流れは二通りあります。香港を経由して中国へ流れる外国資本と、香港を経由して外国へ流れる中国資本です。ゲートウェイという意味で香港が好んで使われるのには、台湾まで1時間、北京、シンガポール、東京まで3~5時間と地理的な優位性も影響しています。シンガポールは、どちらかと言えばプライベート・バンキングといった業種のイメージが強く、香港は多様なファンドマネージャーが群雄割拠する金融センターというイメージです。

 

 

中島 たとえるなら、ボストンがシンガポール、ニューヨークが香港ということですね。

 

マックス うまいたとえですね。
 

本稿は、個人的な見解を述べたもので、GOTEXおよびNWBとしての公式見解ではない点、ご留意ください。

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