(※写真はイメージです/PIXTA)

後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届け。今回は、「認知症の人が残した遺言書は無効となったしまうのか、またどのように扱われるのか」について詳しく解説します。

公正証書遺言を無効にする際の手続き方法・必要な資料を解説

遺言者の遺言書作成当時の遺言能力に疑いを持ち、公正証書遺言を無効にしたい場合は調停・訴訟を提起します。ここではその際の手順や必要書類を説明します。

 

公正証書遺言を無効にする方法

公正証書遺言で作成されていても、相続人全員の合意があれば遺産分割協議に変更し、遺言内容にかかわらず話し合いで遺産の分割が可能です。

 

遺言者の遺言能力に不安を感じていたら、公正証書遺言の内容に従う必要はありません。しかし、遺産分割協議で話し合いがまとまらなければ遺言無効確認調停・遺言無効確認訴訟に移行します。

 

遺言無効確認調停

遺言無効確認訴訟を行う前に、まず相続人間で和解できるよう家庭裁判所で調停による解決が図られます。

 

その際は、調停委員会(裁判官1名と調停委員2名で構成)が設けられ、調停委員会が相続人それぞれの話を聴いたうえで、解決案を提示します。この提案に当事者が合意できた場合は調停調書を作成します。

 

調停の際は主に次のような書類の提出が必要です。

 

・調停申立書:家庭裁判所で取得

・公正証書遺言書

・申立人及び相手方、被相続人の戸籍謄本:それぞれの本籍地の市区町村役場で取得

・不動産登記事項証明書:遺産に不動産がある場合

 

遺言無効確認訴訟

調停でも和解が成立しない場合は、被告の住所地または相続開始時の被相続人の住所地を管轄する地方裁判所に、訴訟を提起します。

 

訴訟の流れは次の通りです。

 

1.証拠・必要書類を準備

2.訴訟を提起

3.判決:勝訴した場合は遺産分割協議へ

 

訴訟期間は資料の準備〜判決までは1年程度かかります。訴訟の手数料は訴額によって変化し、例えば訴額10万円の場合は1,000円、訴額1億円の場合は32万円です(裁判所ホームページ「手数料額早見表」参照)。

 

更に弁護士を立てるならば、着手金・報酬金がかかります。弁護士事務所ごとで料金設定は異なります。

 

訴訟の際は主に次のような書類の提出が必要です。

 

・訴訟申立書:地方裁判所で取得

・公正証書遺言書

・財産内容を示す登記事項証明書、通帳の写し等

・申立人及び相手方、被相続人の戸籍謄本:それぞれの本籍地の市区町村役場で取得

・医療記録、介護記録、医師の意見書(鑑定書)等

 

認知症の家族が書いた遺言に関する相談先は?

相続開始後に遺言書が発見されたものの、作成当時に遺言者が認知症で、遺言能力を有していたか疑わしい場合は、まず「相続診断士」に相談してみましょう。

 

相続診断士は遺言についても専門的な知識を有しているので、有益なアドバイスが得られるはずです。また、士業専門家への橋渡しも行っています。例えば、遺言書の内容や有効性に関して相続人で揉めそうなときは弁護士を紹介してもらえます。

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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