都内で生まれ育った35歳の米田さんは、自治体の「会計年度任用職員」として週4日働き、年収は348万円です。夫の収入と合わせると世帯年収は1,000万円ほどありますが、本人は「気が気でない」「板チョコ1枚も買えない」と嘆きます。いったいなぜなのでしょうか。『年収443万円』(講談社現代新書)著者でジャーナリストの小林美希氏が、米田さんへの取材から“世帯年収1,000万円でも不自由な国”日本の実態を暴露します。
世帯年収1,000万円、実家近くに持ち家と「理想的な環境」だが…35歳・女性「私は下のほうで生きている」と嘆くワケ【ジャーナリストの実録】 (※写真はイメージです/PIXTA)

次年度予算がつかなければ「即・失業」…非正規雇用の厳しい現実

私は今、自治体で非正規の職員として働いているんです。以前は非常勤職員とか、臨時職員と呼ばれていたけど、制度が変わって私たち非正規の職員は2020年度から「会計年度任用職員」と呼ばれるようになったんです。

 

私の自治体では、働くことができる期間は5年が上限。「雇用」されるのではなく、「任用」されるという、一般に馴染みのない世界なんですよね。1年ごとの更新なので、一般企業でいえば契約社員なのかな。

 

自治体は毎年度の予算のなかで非正規の採用を決めるので、次の年度の予算編成の話が出る夏は、気が気でない。私の仕事が続く予算が組まれるのかどうか。だって、予算がつかなかったら即、失業してしまうんですから。

 

年収348万円も、残業手当はなし

私は週4日、1日7時間45分働いています。年収は348万円。月116時間の労働と決まっているので、残業しても残業手当がつくわけではないんです。例えば、残業して月140時間働けば、翌月は残業した分を差し引いた92時間が私の労働時間となるんです。ちょっと特殊ですよね。

 

だから、明日は土曜出勤なのですが、何の手当もつかないんです。上司からは、「土曜に出た分はなるべく平日に休んで」とか「残業としてつけるけど、出勤した分は休んでね」と言われるけど、なんだか変ですよね。

 

非正規といっても公務員。予算のなかで生きています。休日出勤しても振替休日もとりきれず、損した気分になります。業務は増えるのに、上司は「残業しないでね」と。それって、予算がないからってことでしょう。

 

私、去年までいた事務職員の分の仕事もやっているんですよ。稟議書(りんぎしょ)を書いて回したり、決裁の通知文を作ったり。会計処理までして、お金を扱っているんですけど、給料が上がらないって何でしょう? 仕事が増えるけど人員数は同じ。上司が「どうやってやりますか」と聞いてくるのですが、その答え、私が聞きたいです……。

 

結構、仕事をしているんです。それでも年収は348万円で、私としては納得いかない。夫は「これって、週4日でしょ。フルタイムなら年収400万円だよ。自信もって! 正社員で年収400万円なのと同じだよ」なんて言って、励ましてくれるけど。やりたい仕事だし、仕方ないんですかね。家を買ったローンも返さないといけないし。

 

10歳年上の夫は、その年によって年収が150万円くらい変わってしまうんです。結婚してからの9年間、平均的には600万円から700万円でした。いいときは800万円くらい。部署の成績次第でボーナスが変動するんです。

 

1回のボーナスで100万円も違う時があるから、大きな買い物でボーナス払いは絶対にできないですね。きっとこれから夫の収入が劇的に上がることなんてないと思うんです。

 

 

小林 美希

ジャーナリスト