(※写真はイメージです/PIXTA)

「遺言執行者」とは何か、知っていますか? どのような役割を持ち、どのような人がその役割を果たすのでしょうか。後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、僧侶兼行政書士兼相続診断士という、異色の経歴を持つ梅園浄氏が監修した記事を一部編集してお届けします。

遺言執行者とは何か?

遺言執行者とは文字どおり、遺言の内容を執行する役割を果たす人です。遺言の内容を現実に落とし込むのが遺言執行者の仕事であるため、その職務内容は遺言に書かれている内容によって決まります。

 

預金の解約、株式名義の書きかえなど財産にかかわる事務手続きから、不動産の名義変更、認知、廃除(特定の相続人から相続人たる地位を奪う法律行為)といった法律手続きまで、その職務内容は多岐にわたります。

 

遺言執行者の主体要件

原則として遺言書のなかで指定された人が遺言執行者になります。遺言による指定がない場合や、遺言で指定された人が辞任や死亡した場合など、相続人らで遺言執行者を選べますが、この場合、家庭裁判所に申し立てる必要があります。

 

基本的には誰でも遺言執行者の職務に就け、個人ではなく法人でもよいとされています。ただし法律上、未成年者や破産者は遺言執行者にはなれません(民法1009条)。

 

遺言執行者に与えられている「復任権」とは

遺言執行者には復任権が与えられています。復任権とは仕事をほかの誰かに任せる権利です。復任権はホットなテーマで近年、民法の改正があった部分です。今でこそ遺言執行者には復任権があるのが原則ですが、以前までは例外的にしか認められていませんでした。

 

遺言の執行は故人の思いを遺族に伝える大切な仕事である一方、財産の分配など高度な管理能力が求められる局面もあります。買い物を頼むのとは重大さが違い、勝手に他人に頼まれては困るのです。それゆえ民法改正前は「やむ得ない事由をのぞき」復任権の行使は認められていませんでした。

 

改正前の復任権

改正前の条文(民法1016条)では下記のように規定しています。

 

「遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。」

 

改正前の条文によると、遺言執行者はほかの人に仕事を任せることができないことがわかります。

 

やむを得ない事由がある、あるいは本人が(遺言のなかで)あらかじめ復任を承諾していた場合に限って例外的に許されます。なお、やむを得ない事由には、具体的に病気で動けない等などが挙げられます。

 

つまり、例外はあるものの基本的には「復任するのはダメ」ということが改正前でした。直近、これは改正で大きく変化しました。

 

改正後の復任権

では、民法の改正後の条文をみてみましょう。

 

「遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。」

 

改正後の条文によると、遺言執行者が第三者に任務を任せても問題ありません。遺言執行者が(遺言のなかで)ほかの人間に仕事を任せることを禁止した場合に限り、復任は不可になります。

 

改正前と改正後の原則と例外が完全に逆になっていることがわかります。

 

仕事で時間がとれない、遠方住みのため職務をこなすのが困難、遺言の内容が専門的すぎるなど、指名された遺言執行者本人にとって職務の遂行が難しい現実もあります。

 

改正前は専門家に遺言執行を依頼しようにも復任禁止の原則により、それが難しいという状況でした。

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※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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