銀行員「残念ですが、対応できません」…父の葬式代120万円が必要な48歳・息子、銀行の対応に激昂「血も涙もないのか」【司法書士が解説】

銀行員「残念ですが、対応できません」…父の葬式代120万円が必要な48歳・息子、銀行の対応に激昂「血も涙もないのか」【司法書士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

町工場の2代目であるAさん(48歳)。先代であり父親のBさんを亡くし、父親名義の口座から葬儀費用を引き出そうとしたところ、窓口の銀行員に「残念ですが、今回のお引き出しは対応いたしかねます」と言われてしまいました。いったいなぜなのでしょうか。司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏が具体例をもとに、相続発生時、緊急費用を引き出せるようにするためのポイントについて解説します。

「預貯金債権払戻制度」の利用もひとつの手だが…

また、こうした預貯金の緊急時の引き出しに対応できないトラブルが多く発生していることを受けて、令和元(2019)年7月1日に「預貯金債権の払戻制度」という新しい制度が施行されました。

 

これは、遺産分割協議をする前であっても、相続人全員の合意がなくても、家庭裁判所の判断を経ずともがなくても被相続人の口座から払い戻しができるというものです。

 

払い戻しができる金額は以下の式から計算できますが、法務省令により債務者(金融機関)ごとに150万円の限度額が定められています。

 

相続開始時点の預貯金額×3分の1×各法定相続分

 

ただし、この制度を利用する場合、引き出した相続人は相続財産を受け取ったとみなされるため相続放棄ができなくなります

 

したがって、財産の全容(借金の有無・誰が相続人か等)がわからない状態で「預貯金債権払戻制度」を利用することは非常に危険であるため注意が必要です。

 

◆まとめ

葬儀費用等の緊急費用を捻出するためには、先に述べた「預貯金債権の払戻制度」を利用することも考えられますが、相続放棄できなくなるというリスクも高いです。

 

したがって、現実的にはやはり「生前に葬儀費用分だけ先払いをしておく」「相続人全員であらかじめ合意しておく」「生命保険金を活用できるようにしておく」といった対策が有効です。

 

<<<【司法書士が解説】相続発生時に緊急費用が捻出できなくなるケースとその対処法>>>

 

 

加陽 麻里布

司法書士法人永田町事務所

代表司法書士

 

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