土地の名義変更を司法書士に頼まずに自分で行えば、報酬の支払いが不要になって費用をかけずに済みますが、慣れない手続きを自分でやるとミスをして手間がかかる場合があります。
余計な手間をかけないためには「登記を自分でできそうか」「司法書士に依頼すべきか」を最初によく確認しておくことが大切です。この記事では、生前贈与や相続で土地の名義変更を行う場合の手続きの流れや必要書類、費用について解説します。
土地の名義変更が必要になるときとは?
土地の所有者に関する情報は、法務局が管理している登記簿(登記記録)に記載されています。登記簿とは、不動産の所有者や所在地、権利関係などが記載されている帳簿です。
土地の所有者が変わった場合、登記簿(登記記録)に登録されている所有者を変更するために名義変更が必要となります。名義変更のための手続きである登記が必要となる主なケースは、売買・生前贈与・相続・財産分与の4つです。
●売買
土地の売買契約が成立し、売買代金の支払いがなされると所有者が売主から買主に変わるので、名義変更をして登記簿上の所有者を買主に変更する必要があります。
法律上は売主・買主が共同で登記の申請を行う旨が定められていますが、実際には不動産会社が仲介していることが多く、不動産会社が紹介してくれる司法書士が登記を行うことが多いです。
司法書士の指示に従って必要書類を渡せば、代わりに手続きを進めてくれます。
●生前贈与
親から子へ土地を贈与する場合のように、生前贈与によって土地の所有者が変わる場合には名義変更が必要です。贈与する人(贈与者)と贈与される人(受贈者)が共同で登記を申請します。
贈与自体は口頭で合意するだけで成立しますが、登記簿上の所有者が贈与者のままだと受贈者は第三者に対して自分が所有者であることを対抗できず、不利益を被る可能性があります。
そのため、土地の贈与を受けた場合には、名義を変更して所有者として登記簿に登録しておくことが必要です。
●相続
土地の所有者が死亡した場合、所有者が「被相続人」から「相続人」に変わるので、名義変更が必要です。よくあるのが亡くなった親の土地の名義変更が必要となるケースです。
遺言がある場合は遺言で指定された人が土地を相続し、遺言がなく相続人が複数人いる場合は、遺産分割協議を行って誰が土地を相続するのか決めることになります。
一般的に登記は新旧の所有者が共同で申請しますが、相続登記の場合は元の所有者は既に死亡していて手続きができません。そのため土地を相続する人が登記の手続きを行います。
●財産分与
離婚する際に夫婦間で財産を分ける財産分与でも、土地の名義変更が必要になる場合があります。例えば、夫名義の土地を妻が取得するようなケースです。
協議離婚の場合は、財産分与をする人と財産分与を受ける人が共同で登記の申請をする必要があります。
離婚届の提出後に登記申請をする際、相手と連絡が付かず書類の準備で困る場合があるので、離婚の協議をする中で登記申請の準備もしておくほうが良いでしょう。
調停、審判、訴訟など裁判上の離婚の場合は、調書や判決書を法務局に提出することにより、財産分与を受ける人が単独で登記申請できることがあります。