被相続人の口座凍結に備え、いまからできる「2つの準備」
では、口座の凍結に備えていまからできる準備にはどういったものがあるのでしょうか。
①預貯金からある程度の金額を引き出しておく
最低限、葬儀費用だけは現金で引き出しておくことが必要になってくるでしょう。相続人となり得る全員の合意を得て引き出すか、もしくは口座名義人が健在なうちに引き出し、手元に置いておくといいでしょう。
なお、使用した際は必ず領収証をとっておき、相続の際に清算できるように対策をしておきましょう。
②生命保険に加入する
また、生命保険金の活用もひとつの手です。
相続対策において「生命保険金の活用」というのはさまざまな場面でいわれることですが、なかには「賠償金の支払いにあてるために高額な保険に入っておかねばならない」といったものもあります。しかし、葬儀費用捻出のための生命保険加入ということであれば始めやすいのではないでしょうか。
死亡保険金は預貯金とは異なり、凍結されることはありませんので、受け取った保険金のなかから葬儀代などを支払うことが可能ですし、支払った場合は相続の際に清算できます。
上記①、②の対策が難しく、どうしても緊急で費用の捻出を行う必要がある場合には、先述した預貯金債権の払戻制度を活用する、というのがいいでしょう。
また、間違っても口座名義人が亡くなったことを黙って預貯金を引き出し続けるというのは、後々トラブルのもととなるため、おすすめできません。
<<<【司法書士が解説】相続発生時「まずは銀行へ」が“絶対にNG”なこれだけの理由>>>
加陽 麻里布
司法書士法人永田町事務所
代表司法書士
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】