10年間の介護生活…父の決断は
体力的にも大変な在宅介護は、その後5年ほど続き、賢持さんは85歳で旅立っていきました。「ありがとうと何度も言ってくれて。幸せそうな顔をみたら、大変だったけど家で看取れて、ほんとうに良かったと思います」と陽子さん、合計10年にも及ぶ介護生活を振り返ります。
「小さかった子どもが、もう高校生ですからね。時の流れを感じます」
葬儀がひと通り終わり、実家に久々に3人兄妹が集まった人のこと。「あれは修羅場でしたね」と陽子さんは振り返ります。3人が集まるように招集したのは誠さん。父・賢持さんの遺産をどのように分けるか決めようというのです。
「相続人は俺らだけだから、普通に等分すればいいと思っているんだが。あっ、この家(実家)は別な。お前(陽子さん)が相続すればいいから」と誠さんが口火を切りました。
「待って、お父さんは遺言書を残してくれているの。それを優先しましょう」。生前、賢持さんは陽子さんに遺言書を作成したことを伝えていました。「その時が来たら頼む」と。後日、検認し、その遺言書に書かれていたことに、誠さんと聡さんは衝撃を受けます。その内容は「すべての財産を陽子に相続する」というもの。その額、実家のほか2億円……。
「こんな遺言、認めるわけにはいかない!」。誠さんも聡さんも、遺言書の内容をみて激怒。怒りの矛先は陽子さんに向かいました。「お前、父さんを騙して、こんな遺言書を書かせただろう!」
責め立てる兄を前に、大きく深呼吸をした陽子さん。そして今までの想いを口にしました。「ふざけないで! この10年、何もしてないのに、何を虫のいいことを言っているのよ!」。あまりの形相に、ひるむしかない誠さんと聡さん。最初の勢いを完全になくしたといいます。
「10年分の想いをきちんと吐き出すことができて、スッキリしました」と陽子さん。後日、陽子さん自らが、遺留分を意識して遺産分割案を2人の兄に提案。兄妹3人ともこの案に合意し、遺産分割がされたといいます。
注目のセミナー情報
【資産運用】5月8日(水)開催
米国株式投資に新たな選択肢
知られざる有望企業の発掘機会が多数存在
「USマイクロキャップ株式ファンド」の魅力
【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意