小学校、中学校には、障害をもつ子どもたちが安心して学習するための特別な学級があることをご存知ですか?どのような子どもたちが在籍するのか、授業はどのように行われているのか、卒業後の進路はどうなるのか、と気になっている親御さんもいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、障害児教育について幅広い経験をお持ちのそうくる先生に、特別支援学級について詳しくお話を伺いました。
「特別支援学級」とは?授業内容や卒業後の進路について「現役指導員」が解説 ※画像はイメージです/PIXTA

通常学級と特別支援学級で転籍はできる?

自閉症・情緒学級などの知的障害のない学級から通常学級に転籍するケースはよく見られます。また通常学級から特別支援学級へ転籍することもできます。知的障害学級に関しては、基本的には転籍することは想定されていません。

 

①特別支援学級から通常学級への転籍

特別支援学級で過ごすことで、人との関わり方や自分の心の落ち着かせ方を学び、苦手や困難を克服していくお子さんもいます。普段の様子を見て、先生側から通常学級への転籍を打診することもありますし、親御さんの方からお申し出があって転籍することもよくあります。

 

②通常学級から特別支援学級への転籍

通常学級で過ごしていく中で、学習や生活をする上での困難が顕在化してきた場合は、特別支援学級へ転籍することもできます。ただし通常学級で過ごしていた場合、特別支援学級がどのような場所なのかイメージできていないお子さんも多いので、最初は違和感を感じるかもしれません。ですから転籍を考え始めたら、早いうちからお試しのような形で特別支援学級に参加するなどして、どのような場所なのかを少しずつでも経験させてあげることをおすすめします。

 

小学校卒業後の進学先について

①中学校進学時

特別支援学級は中学校にもあるので、小学校からそのままスライドする形で、同じ障害の学級に在籍するケースが多いです。ちなみに中学校では通常学級へ、とお考えの親御さんも多いかと思います。その場合は進学と学級変更という2つの大きな環境変化が、お子さんの心理的負担にならないよう配慮が必要です。

 

②高校進学時

高校へ進学する場合は、知的障害の有無で選択する学校が変わります。高校には特別支援学級がありませんので、知的障害がない場合は一般高校へ進学し、他のお子さんたちと同じ学級に在籍することになります。

 

知的障害を持つお子さんの場合は、特別支援学校の高等部へ進学する割合が高いです。他にも、フリースクールなどの通信制の高校に通うことがあります。

 

特別支援学校では高校卒業の資格を得ることができませんが(大学受験資格はもらえます)、とても手厚く就職支援をしてもらえるのがメリットです。特別支援学校は、障害をもつ子どもたちが社会的に自立するための支援を目的にしているので、社会人としてのマナー教育や職業訓練の時間も設けられていたり、インターンシップ制度もあるので、就職を考えているお子さんにはおすすめです。

 

またフリースクールなどの通信制の高校では、自分のペースに合わせて学習ができたり、なかには発達障害に理解のある高校もあるので居場所を感じやすく続けやすいというメリットがあります。

 

通常級?支援級?障害をもつお子さんの学級を選ぶ時のポイント

小学校入学にあたって、通常学級と特別支援学級のどちらがいいか迷っている親御さんもいらっしゃるかもしれません。その時は次のようなポイントで考えてみてください。

 

①客観的な意見を聞く

親御さんはどうしても「こうあってほしい」という期待や主観的な意見が入り込んでしまうもの。ですからできるだけ多くの方に客観的な視点でお子さんを見てもらい、その意見を参考にしてみてください。園や療育の先生はもちろん、ご親戚など幅広い意見をもらうことも大切です。

 

②園での実態をヒアリング

①に関連しますが、園の先生に普段の生活の様子をよく聞いてみてください。その際先生には、洗いざらい話してほしいと伝えてみることもポイントです。園の先生の中には、親御さんを傷つけないよう配慮してお話しされる方もいます。ですがお子さんのためにも、集団活動におけるリアルな様子を知っておくことが必要です。家でできていることが園でできていなかったり、その逆もあります。これらは学級を選ぶための大きな判断材料になります。

 

③小学校に見学へ行く

就学先の小学校にお願いをして、通常学級と特別支援学級の両方を見学させてもらいましょう。実際にどのように過ごしているのかを見て、入学後のお子さんをイメージしてみるのもいいと思います。ぜひお子さんも一緒に見学しに行ってみてください。