(画像はイメージです/PIXTA)

決算書は、会社の強みや問題点、改善すべき点などがわかる「宝の地図」です。難解なイメージがありますが、実は計算式や専門用語を知らなくても読み解けます。エンジニアから畑違いの「総務・経理管掌」の取締役に転身し働くなかで考案した「風船会計メソッド」で特許を取得し、大学の客員教授も務める松本めぐみ氏が著書「知識ゼロでも分かる 風船会計メソッド」より解説します。今回は「貸借対照表」の読み方です。

貸借対照表は「豚の貯金箱」に置き換えるとイメージしやすくなります。【図表1】を随時参照しながら読み進めていってください。

 

[図表1]貸借対照表を分かりやすく図式化

まずは「右タテ」から【自己資本比率】

◆1.「右タテ」に書かれている項目

まずは、豚の貸借対照表の右側を縦方向に読んでいきましょう。通称「右タテ」です([図表2]「右タテ」のイメージ)。この「右タテ」で書かれていることは2つです。

 

まず下には、創業から今までコツコツと貯めてきた“税引き後の利益”や出資した金額が書かれています。これを「自己資本(純資産)」といい、豚の貸借対照表では「気球」のイラストで表示します。

 

ここには創業して今まで貯まった(税引き後)利益が積み上がっています。まだ社歴が浅い会社は、ここがまだ貯まっていなくて当然なので安心してください。注意してほしいのが、この金額分お金があるわけではないということです。「純資産」と書かれているので、この金額分お金があるように感じますが、違います。

 

そして、上に書かれているのが負債です。ここは返していかなければならない金額です。

 

[図表2]「右タテ」のイメージ

 

◆2.「自己資本比率」の導き出し方

経営分析において大切な指標の一つが、「右タテ」で読み取れる「自己資本比率」です。自己資本(創業から毎期毎期積み上げてきた利益など)が、貸借対照表の右側(負債・純資産の部合計)全体の何%を占めるかを示しています。

 

※会計の世界では、この公式の分母は「負債・純資産の部合計」ではなく「総資本」と書かれています。しかし、決算書には総資本という言葉がないので、自社分析の際に混乱してしまいます。よって、ここではあえて「負債・純資産の部合計」と表しています。
[図表3]自己資本比率の計算式 ※会計の世界では、この公式の分母は「負債・純資産の部合計」ではなく「総資本」と書かれています。
しかし、決算書には総資本という言葉がないので、自社分析の際に混乱してしまいます。
よって、ここではあえて「負債・純資産の部合計」と表しています。

 

◆3.優良企業の自己資本比率は50%超

国内企業の平均的な自己資本比率は約40%です。これを上回り、50%を超えると「優良企業」とされます。ただし、本当に「優良企業」といえるかは、他の指標も見ながらチェックする必要があります。自己資本比率が高ければ高いほどいいわけでもないので注意しましょう。

 

まずは自社の「右タテ」を見て、さまざまな借金と自己資本のバランスを見てみましょう!

 

◆4.「流動負債」や「固定負債」とは?

たとえば、10年間で純資産を1000万円積み上げたとします。これは1000万円の現金があるというわけではありません。この1000万円は10年間で豚の貯金箱にある資産たちに化けています。

 

風船の上には、借金が書かれています。これらの借金は「流動負債」と「固定負債」に分かれます。さまざまな名目で書かれていますが、とにかく「返済すべきお金」です。

次ページお次は「左タテ」の【流動資産と固定資産】
知識ゼロでも分かる 風船会計メソッド

知識ゼロでも分かる 風船会計メソッド

松本 めぐみ

幻冬舎メディアコンサルティング

風船、豚の貯金箱、お化け……ビジュアル化すれば、ややこしい会計が誰でも分かる! 会社の経営改善にもつながる唯一無二の会計メソッドを徹底解説! 経営において「会計」は避けて通れないものであるだけでなく、経営を…

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