「世界のAI市場」はわずか1年で5,000億米ドルに拡大…「メガトレンド」が次々生み出す巨大市場

「世界のAI市場」はわずか1年で5,000億米ドルに拡大…「メガトレンド」が次々生み出す巨大市場

多くのビジネスが苦境に立たされる理由、それは需要と供給のバランスを疎かにし、アイデア優先でビジネスを始めてしまうからです。挑戦すべきは、巨大な需要によって拡大し続けている「急成長市場」=「社会課題解決市場」です。本稿ではSDGsジャーナル 深井宣光氏の著書『SDGsビジネスモデル図鑑 社会課題はビジネスチャンス』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、社会課題解決市場を次々生み出している「メガトレンド」の例を5つ紹介します。

①急激な「人口増加」

世界人口は、紀元前から2,000年以上もの年月をかけて1927年にようやく20億人に到達。しかし、それ以降の増加スピードは60倍に急加速し、わずか100年で人口80億人に到達しています。2050年には97億人に到達すると予測されており、急激に人口が増え続けています。

 

<社会課題>

深刻な食料危機、タンパク質不足、水やエネルギーなどのあらゆる資源枯渇、大量廃棄、環境破壊、大気汚染、気候変動、感染症リスクの増大、教育の不足、社会保障制度、移民、格差、差別、不平等、紛争など

 

<社会課題解決市場の一例>

【世界のフードテック市場】

24兆円(2020年)→279兆円(2050年)

(農林水産省/三菱総合研究所「令和2年度フードテックの振興に係る調査委託事業実施報告書」より)

 

【世界のエネルギーマネジメントシステム(EMS)市場】

927億米ドル(2022年)→2,881億米ドル(2028年)

(Stratistics MRC「世界のエネルギーマネジメントシステム(EMS)市場(~2028年)」より)

②止まらない「人口減少」

世界人口の増加と共に、急激な人口減少も社会課題解決市場を生み出しています。日本の人口は、2008年に1億2,808万人に到達したのをピークに急降下(図表1)。2022年は78万2,305人の人口が減少しており、減少幅は1950年以降過去最大です。鳥取県の総人口以上の人口が減少しています。また、ワシントン大学はスペイン、ポルトガル、タイを含む23カ国は2100年までに人口が半減すると予測しています。

 

 
[図表1]止まらない「人口減少」

 

<社会課題>

生産年齢人口の減少、労働力不足、人材獲得の難化、移民の増加、技術継承、事業承継、不妊・未婚・晩婚・晩産の増加や経済的負担による出生率の低下、自治体の税収減、地域経済の衰退、過疎化、空き家、耕作放棄地など

 

<社会課題解決市場の一例>

【世界のAI市場】

4,328億米ドル(2022年)→5,000億米ドル(2023年)

(IDC Worldwide Semiannual Artificial Intelligence Trackerより)

③高まり続ける「高齢化」

世界の高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)の平均は、9.2%(2020年)→17.8%(2060年)に上昇すると国連は予測。人類がいまだかつて経験したことのない高齢化社会に突入します。そんな中でも日本の高齢化率は、その他の高齢化先進国の中でも群を抜いており、世界最高の29.1%(2022年)。2040年には35.3%に達すると予測されています(図表2)。

 

[図表2]高まり続ける「高齢化」

 

<社会課題>

労働力不足、労働環境や仕組みの変革、社会保障費の増加、介護負担、少子化の加速、住宅需要の変化、社会的孤立、健康寿命、若年層との情報格差、詐欺犯罪、交通事故の増加、インフラ整備など

 

<社会課題解決市場の一例>

【世界のエイジテック市場】

7,000億米ドル(2018年)→2.7兆米ドル(2025年)

(Forbes「Age-Tech:The Next Frontier Market For Technology Disruption」より)

④避けては通れない「インフラ老朽化」

先進国・途上国を問わず、世界各地の道路や橋、水道、下水道、電力・エネルギー、医療、教育機関、鉄道、空港、港湾施設など、あらゆる分野のインフラ老朽化が進行しています。日本においても、2040年には約75%の道路橋が築50年超となります(図表3)。

 

[図表3]避けては通れない「インフラ老朽化」

 

<社会課題>

ライフラインの断絶、倒壊危険性の増大、安全性の低下、医療機関などの機能低下、インフラ工事による交通渋滞の発生、災害被害の拡大、資材廃棄による環境汚染、大量の資源利用、輸送・工事によるエネルギー消費、経済的・社会的負担の増加など

 

<社会課題解決市場の一例>

【日本のインフラメンテナンス市場】

約5兆円(推定)

 

【世界のインフラメンテナンス市場】

約200兆円(推定)

 

(いずれも国土交通省「インフラメンテナンスを取り巻く状況」より)

⑤生物そのものの危機「気候変動・環境破壊」

地球の気温は人類が経験したことのない速度で上昇しており、1850~1900年の平均と比べて、2011~2020年は1.09度上昇し、「50年に一度の熱波」は4.8倍に増加。今後気温が1.5度上昇で8.6倍、2度上昇で13.9倍発生すると国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は予測しています。

 

また、海には毎年推定1,100万トンのプラスチック廃棄物が流入しており、2040年までにほぼ3倍、年間2,900万トンになると予測されています(Pew「Breaking the Plastic Wave」より)。

 

[図表4]生物そのものの危機「気候変動・環境破壊」

 

<社会課題>

熱中症、農作物や水資源の減少、海面上昇、自然災害の増加、生物多様性、森林破壊、海洋汚染、土壌汚染、大気汚染、海水酸性化、過剰漁獲、畜産による環境破壊など

 

<社会課題解決市場の一例>

【世界の再生可能エネルギー市場】

9,323億米ドル(2022年)→1兆5,000億米ドル(2027年)

(BCC Research「Renewable Energy: Technologies and Global Markets」より)

 

 

SDGsジャーナル 深井 宣光

 

一般社団法人SDGs支援機構事務局長。SDGs/社会課題解決専門ビジネスメディア「SDGsジャーナル」を運営。社会課題解決型のスタートアップ専門ビジネスメディア「Startup-Japan」代表。SDGsを専門知識ゼロでもわかるやさしい言葉で伝え続け、わかりやすいだけでなく行動を喚起する解説者として注目を集めている。経済産業省関東経済産業局のベンチャー支援事業のサポーターや、各種メディア、企業でのSDGs/サステナブル企画の企画・監修のほか、講演、執筆など多岐にわたって活動。著書に『小学生からのSDGs』(KADOKAWA)がある。

 

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※本連載は、SDGsジャーナル 深井宣光氏の著書『SDGsビジネスモデル図鑑 社会課題はビジネスチャンス』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

SDGsビジネスモデル図鑑 社会課題はビジネスチャンス

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SDGsジャーナル 深井宣光

KADOKAWA

【急成長ビジネスに学ぶ「成功法則」】 筆者はこれまで、社会課題解決に取り組む起業家、企業、自治体、NPO、国際機関、社会活動家などを対象に、900事例以上の取材・調査・研究を行ってきました。 その中でも特に注力して…

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