遺言書はルールが多い…「公正証書」で作成を
「明らかに偏った内容」の遺言書
被相続人の財産を誰にどの程度残していくのかというのは、原則本人が自由に決定できることが法律でも認められています。
そのため、「第三者に遺産を全部遺贈する(例:自身のふるさとに遺産をすべて寄付する)」「特定の相続人のみに相続させる(例:愛人のみに相続したい)」など、明らかに内容に偏りのある遺言書がのこされることは決して珍しいことではありません。
被相続人の意思を尊重していくべきではありますが、相続人からすれば「そんな遺言は無効だ」として争いが起きてしまいがちです。また、被相続人が遺言書を即席で作ったためにその形式が無効であったり、その内容が遺留分を無視したものになっている場合、トラブルに発展する可能性が高いです。
遺言書というのは、必ず日付を明記する必要があるなど細かいルールがあり、実は非常にセンシティブなものです。したがって、このようなトラブルを避ける対処法としては、あらかじめ「遺言書の効力を確認すること」です。遺言書には形式要件や能力要件があるため、可能であれば公正証書で作成することが望ましいでしょう。
また、被相続人として「全財産を大好きなふるさとに寄付したい」「遺産を子どもにのこしたくない」という気持ちもわかりますが、明らかに偏った内容の遺言はトラブルに発展しやすく、またこうしたトラブルが原因で仲のよかった兄弟仲が引き裂かれるというような事例も非常に多いです。
したがって、生前にどのぐらいの相続分があるか確認し、遺言書の内容を是正することで、遺産相続トラブルを未然に防いでいただきたいと思います。
遺産が少額であっても「少額だから」と放置することなく、円満に相続できるよう生前対策を行っていきましょう。
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加陽 麻里布
司法書士法人永田町事務所
代表司法書士
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